「世界同時・株安」始まる
いよいよ東京株式市場がおかしくなってきた。
4月8日と5月7日に1万7500円前後のダブる天井をつけたあと、日経平均は下げ基調に転じ始め、本日(6月8日)、463円の急落によって当面の節目と思われていた1万5000円の大台を一気に割ってきた。
今回の株安の震源地は米国、しかし、米国市場の影響は最小限にとどまるはずだ。なぜなら、日本の景気動向はあくまで上向いており、国内景気は力強さを保っているから ・・・・・・・・ 市場関係者はみなそう考えていた。
ところが株安は一向に止まらず、わずか2ヶ月で、高値からの下げ幅は3000円(17%)を超してきてしまった。 なぜなのか? 日本経済新聞までもが「止まらぬ株安
なぜ?」と疑問を発している。
あなたは覚えているだろうか。 40、000円台直前の高値で引けた1989年の大納会を。来年はいよいよ50、000円だ! いや100,000円も夢でないと、猫も杓子も「捕らぬ狸の皮算用」をはじいていた。ところが、一転して翌年早々から下がり始めた株価はとどまるところを知らず、
あれよあれよと言う間に30、000円を抜け、20、000円を割り込んでいった。
その時もまた、市場関係者は今と同じ疑問を持っていた。「ファンダメンタルズ(基礎的要因)」を株価の判断基準におく彼らには、際限なく下げ続ける理由が
まったく理解できなかったのだ。というのは、国内景気は順調であったし、政治情勢もまた特段の問題点が見当たらなかったからである。その結果未練を持って持ち続けた株券は二束三文になっていった。
彼らにはその要因が分らなかったはずである。実は、大量のプット・オプション(株価が下がれば儲かるファンド)を保有したユダヤ系証券会社が手を組んで、日本株暴落をもくろんでいたからだ。市場関係者が言うところのファンダメンタルズなどまったく関係ないところで、下げ局面が目論まれていたというわけである。
世界の経済や政治を裏で操る世界的組織の存在などまったく知らない、おつむテンテンの日本の市場関係者がその実態を知ることになったのは、20,000円台を割り込み、地獄の蓋(ふた)が開いてから久しく経ってからのことであった。
ちょうどそれは、私が勤務先で1兆円近い資金を運用する部署の責任者を務めていた頃であった。
ユダヤ問題の研究家の宇野正美氏は、株価が下げ局面に入った当初から、株価下落の背景には、世界の経済を裏で操る闇の勢力の描く「株価暴落劇」のシナリオがあることを説いていた。
私が奇しくも宇野氏の講演会に参加し始めたのはちょうどそのころであった。宇野氏の話の内容に真実性を感じ取った私は、彼の警告に真摯に耳を傾けるべきだと直感した。しかし残念ながら、そうした投資家は、ほんの一握りでしかなかった。
私の周囲でも状況は同じであった。私は社長はじめ担当役員にそうした話を伝えたものの、真剣に耳を傾ける役職員は皆無に近かった。それゆえ、私にできることは、自分の権限内で売れる範囲の株式を早めに売却しておくことだけだった。
あれから15年、どうやらまた歴史は再び巡ってきたようだ。理由の分らぬ下げという点では、86年の状況とまったく一緒だからだ。
市場では、投機マネーの収縮だとかバーナンキ・ショックだなどと近視眼的な見方をしているが、そんなものはシナリオを演出する上での、単なる台詞(せりふ)の一つに
しか過ぎない。
ただ今回の日本の株安が前回と異なる点は、「世界同時・株安」への起爆剤となる可能性が強い点である。
そこに、イランによるホルムズ湾閉鎖でも行なわれようものなら、世界の経済と政治の大混乱は必至だ。
石油の高騰で潤っていたサウジアラビアを初めとする中東諸国では、数ヶ月前からすでに景気とは無関係な異常な下げが始まっており、株価が半値まで下落した国々が多発していた。またインドでも同じ状況が発生している。絶好調の経済とは裏腹に、インドの株価指数は既に2
5パーセント下落し、さらに下降局面をたどっている。
このように、新興国の大幅下落が進む中で、高値を維持してきていた先進国の株価に異常が見えだしたのが、6月初旬であった。日本や香港を中心とするアジア株が下値へと向かうのを後追いするかのように、ヨーロッパ、アメリカ市場も本格的な下落の兆候を見せ始めてきた。
おそらく日本株はまもなく14,000円を割り込み、一時的な反発や下落を繰り返しながら、かっての最安値7000円台にむかって下げ足を速めていくことになるに違いない。(ただしハイパーインフレが発生
した場合には、その数値は変わってくる) そして、それは数パーセントの下落に留まっているウォール街やロンドン・シティーに多大な影響を与えるはずである。
その結果、双子の赤字に揺れるアメリカでは、「ダウの下落」と「ドル安」がその動きを早めることになる。それは、米国債を大量に抱えた日本にもまた
跳ね返ってくる。その結果、円とドルは共倒れで暴落し、生き残るのはユーロだけということになるかもしれない。
先にソ連を崩壊させた「陰の政府」は、こうして次なる標的「アメリカ」を瓦解させるシナリオを実行に移し始めたというわけだ。
アメリカは数年以内に、これがかっての覇権国アメリカなのか、と思われる状態に立ち至ることになる。
もちろん日本もまた標的の一つであることに変わりはない。こうして、世界が次々と地獄に落ちて救いを求めるのを、彼ら「陰の政府」のシナリオライターたちは待っているのだ。
他人事ながら心配なのは、アメリカの一般市民である。
日本では個人の保有する株の割合は低い。だから先の株の暴落でも被害を被った人は特定的であった。それに土地や住宅バブルがはじけた結果、甚大な被害を受けたのは、大量に土地を買いまくった法人やそこに融資していた銀行に限定されていた。一部の個人も影響を受けたが、それはあくまで一握りの人間に過ぎなかった。
しかし、アメリカの株価暴落とそれによって引き起こされる住宅バブルの崩壊の影響は甚大だ。なぜなら、アメリカ人の資産に対する株式投資の割合と住宅ローンの金額は我が国の比ではないからだ。それに、彼らはローンで買った住宅がバブルで値上がりした分、それを担保にして、さらに車や家財などの消費財を購入し、それを住宅担保ローンとして上乗せしているだけに、始末が悪い。
アメリカ市民の住宅担保ローン残高は実に8兆ドル(920兆円)に達しており、実に米連邦政府の公的債務を上回る規模となっている。今やアメリカは、国家が抱えた双子の赤字だけでなく、国民もまたそれを上回る借金地獄に
陥っているのだ。
アフガンやイラクに「生き地獄」をもたらしたアメリカとその国民は、株価とドルの暴落によって、今度は我が身を地獄におくことになる。自業自得とは言え、ウォール街周辺のあまり
目にしたくない映像が世界に配信されることになるかもしれない。
我が国にも心配の種はある。急増しているインターネット取引で、初めて株の売買を始めた個人投資家たち、中でも最も心配なのが、
デイ・トレードを生業(なりわい)とした人々や株式の何たるかも知らず、マネーゲームにのめり込んでしまった家庭の主婦たちである。
案じた私は先に「緊急レポート・最近の気になる出来事」で、次のように警告を発しておいた。
怖い物知らずの主婦たちが家計を楽にしようと、なけなしの資金を元手に株式に手を出し始めている。上昇相場から株を始めた彼女たちには、急落や暴落の経験などない。そんな彼女たちが本格的な下げ相場が始まったとき、動転して駆け込む先はサラ金だ。
今からでも遅くはない。早めに株式市場から手を引いた方が賢明だ。これからも多少のリバウンド的な株高はあるだろうが、そんなものに未練を持ち続けたら、それこそ裸一貫になってしまう。
それより、相場などに手を出したら、日に日に「心」がすさんでくる。一刻も早くその世界から身を退くことだ。