世界を敵に回した米国の未来

 

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米大統領は「人類の脅威」

「米大統領は人類の脅威」、これは、11月18日付けの英国各紙が掲載した衝撃的な見出しである。我が国でも翌日の紙面で一斉に報じられたので、憶えておられる方も多いだろう。

その内容は、ロンドンのリビングストン市長がブッシュ大統領の訪英前日、同大統領を「地球上の生命に対する最大の脅威・「彼の政策は人類を絶滅にみちびく」と口を極めて批判したものである。

市長は労働党を除名された過去を持つ反骨市長で有名な人物らしいが、それにしても、公式訪問する一国の大統領を、首都市長がこうまでこき下ろすのは、異例中の異例である。

ブッシュ大統領やアメリカそのものに対する嫌悪感は一市長だけのものでなかったことは、公式訪問中の4日間、至るところで「帰れ!帰れ!コール」を浴びせられた事実が物語っている。

歓迎されると期待したブレア首相の地元でさえ、吹きすさぶ寒風の中、「ゴーホーム」の大合唱だったと新聞は伝えている。

これら一連の出来事が、米国にとって最友好国であるはずの英国で起きたことは、世界中の多くの国民が米国の対アフガン戦争以来の行動を、いかに「義憤」と「憎しみ」の目で見ているかを、如実に物語っている。

                  イラク戦争中、ミサイル攻撃を受け子供を抱きかかえて号泣する父親は世界中の人々の胸をうった。

 

イラク戦争は大義名分の無い戦争だった

今年2月に掲載したホームページ「近づくイラク戦争」で、私は、「アメリカの主張するイラク攻撃の正当性は真実か?」と題して米国や英国が主張するイラク攻撃の根拠が、いかにあやふやなものであるかを述べた。

その結果はどうだっただろうか、終戦後既に8ヶ月が経過しているのにもかかわらず、米英両国の首脳が繰り返し言及し、開戦の大義名分とした大量破壊兵器は一向に発見されていないではないか。

それよりも、ブッシュ大統領やパウエル国務長官の国連での演説の元となった情報が欺瞞に満ちたものであることが、次々と明らかとなり、いかに対イラク戦が「大義名分なき」開戦であったかが白日の下に曝(さら)されたことは、皆さんも既に承知の通りである。

つまり、イラク戦争は巷間いわれているように、国防長官ラムズフェルドや副大統領チェイニーなどの米国至上主義者の輩(やから)が引き起こした、特定の集団の利益のための戦争だったか、あるいは、石油利権にからんだアメリカ国益中心の戦争だったかのいずれかということになってくる。

となれば、このような米国や特定の人間の利益追求のために行われた戦争に加担した我が国の方針は、当然、間違っていたことになってくる。それにもかかわらず、今に至るも小泉総理は大局的観点から日本国家にとって利益になることだから、この戦争加担は大儀あることだったと発言している。

国家的利益」と「大儀」とはまったく別次元である。、おのれに都合がよければ、隣の家に踏み込む「ならず者」に力をかすのも大儀だというのなら、親は子供にいったい何を教えたらよいというのか。

そもそも、あれほどまでにアメリカ追従をしていなければ、今回の50億ドルもの復興寄金の支援は必要とならなかったはずだ。米英が自国の都合で破壊させたのだから、どうそ、ご自分のお金でお直しになられたらいかがですかと、幾らでも言えたはずではないか。現にヨーロッパ諸国はそうしているのだ。

私は、先日カナダ在住の友人から届いたメールを見て愕然(がくぜん)とした。そこには、「突出したイラク復興資金提供のニュースを恥ずかしい思いで見ています」と書かれていたからだ。外から見れば、アメリカ追随型外交はアメリカの無心に、ただ従うだけの哀れな姿にしか見えないのだ。

戦争中のイラクに自衛隊を派遣するのは、明らかに憲法違反だ!

自衛隊のイラク派遣がとうとう閣議決定された。私によくわからないのは、戦闘状態がつづくイラクになぜ自衛隊を送り込むことが出来るのかとい点である。なぜなら、イラク戦争はまだ終わっていないのだから。 

終戦宣言はブッシュが一方的にしたことで、イラク国家は終戦宣言などしていないのだ。開戦宣言もする間もないうちに一方的に戦争に引きずり込まれてしまった国家に終戦宣言をしろというのほうが、土台、無理というものかもしれないが、いずれにしろ、フセインも議会も降伏しましたなどと、未だ言っていないのは事実である。

桁違いの軍事力でまともに戦っては勝ち目がないと悟ったフセインが、ゲリラ戦に持ち込んだのが現在のテロだとしたら戦争などまだ終わっていないと言わざるを得ない。事実、イラクでは毎日のようにミサイル撃ったり撃たれたりしているではないか。

組織的かつ継続的に行われるものならテロもゲリラもみな戦争に変わりないはずだ。9月11日の同時テロのあと、ブッシュは何と叫んだか? これは戦争である。真珠湾以来の侵略戦争であると叫んだではないか!

現に、勝利国の大統領がお忍びで敗戦国を訪れ、2時間やそこらの滞在で逃げるように帰国せねばならない事実が、それを証明している。12月9日付けの新聞には、自衛隊派遣先の候補地となっている南部サマーワ地方のサハラディン州知事は、共同通信社の記者に「誰も安全を保証できない」と強い警告と懸念を伝えている。

我が国の自衛隊が派遣されたとしても、もはや、イラク情勢は収支のつくような状況ではないことは、毎日の紙面を見れば明らかである。いま日本がとるべき行動は、アメリカにはっきりもの申すことではないだろうか。

「我が国も、うかつだったが、どうやらあなたのとった行動は間違いだったようだ。この上は泥沼に陥らないうちに、一日も早く英国とともに身を引き、国連中心の復興に切り替えるべきです」と。

それが受け入れられたときには、自衛隊派遣も復興資金も生きてくる。今のままでは血税5000億は「死に金」で終わり、もしも、自衛隊員に死者が出ることになったら、彼らの死は「無駄死」になりかねないであろう。

凶弾に倒れた奥大使、井上一等書記官の死を無駄にしないことと、自衛隊派遣とは別問題であるはずだ。

アフガンの悲劇は今もつづいている!

アフガン戦争が終了して、既に2年有余になる。しかし、現地では未だゲリラ戦がつづき、旧タリバン兵士の一掃のために米国による空爆は止むここがない。イラクの陰に隠れて、ニュースは下手(ベタ)記事にしかならないケースが多いが、目にするのが辛いほどの記事が頻繁に掲載されている。

12月8日付けの紙面には、「米空爆で子供9人死亡」、「掃討作戦で巻き添え」の悲惨なニュースが載っていた。いったいアフガン戦争以来、米軍による誤爆という名のもとに殺されたり、手足を奪われた民間人や幼い子供達の数はどれほどになっているのだろうか。

9月11日の同時テロで犠牲になった米国人の家族がアフガンを訪れ、アフガン戦争の悲惨な状況を目にしたとき、この戦争がいかに無意味なものであることかを知ったと述べている。

帰国後、犠牲者の家族が自分たちの夫や子供の死を戦争の大義名分に使わないで欲しいと、米国政府に訴え、戦争の即時中止を嘆願するテレビ番組をご覧になった方も多いであろう。

対アフガン、対イラク戦争とその後のゲリラ戦で巻き添えになる数え切れないほどの一般市民の姿を見ると、同時テロの3000人の犠牲者もこれでは浮かばれないだろうなと思わずにはいられない今日この頃である。

戦争大好き症候群国家・アメリカの未来

拙著『謎多き惑星地球』を読んで頂いただいた方はご記憶にあろうが、アメリカ南西部、アリゾナ州の一角に住むインディオのホピ族の伝承と未来預言の中に、アメリカ経済の一気の破綻と、他国からの攻撃によって米国が凋落へと向かう様子が残されている。

かの有名なリンカーン大統領自身が暗殺される前、21世紀冒頭に米国で核攻撃による悲惨な戦争が勃発する姿を幻視していることも、拙著に書いた通りである。

「中毒性・戦争大好き症候群」に陥ってアメリカが、第2次世界大戦以降、直接関わってきた大義名分なき戦争は、主だっただけでも十指に余る。朝鮮半島(1950〜53)、ドミニカ共和国(1965)、ベトナム(1964〜73)、レバノン(1982〜83)、グレナダ(1983)、リビア(1986)、パナマ(1989)、イラク(1991)、コソボ(1999)、アフガニスタン(2000)・・・・・・

これらの犠牲者やその親族の怨念たるやさぞかし凄いものに違いない。米国憎し、米国人憎悪の思いは時代の経過で消えていくような簡単なものでない。これらがいつかは米国をして、凋落と破綻の世界へ導くことになりはしないだろうか、という思いが私の頭から離れない。

もしも、私の懸念が現実となる日が来るのなら、米国一辺倒の日本の外交政策が、凋落していく米国の巻き添えにならない保証はどこにもない。 一日も早く、米国追従型の外交から転換すべきであると思うのだが、いかがなものだろうか。

米国追随型外交とっている国々の多くは、米国からの資金的・経済的援助を仰がねば、国家が成り立たないような国々であることを忘れないで欲しい。日本がなぜそのような国々と同じ行動を取らねばならないのか、私には納得がいかないのだ。

小泉さん、貴方は知らないはずはない。我が国が米国発行の債券の何割を保有しているのかを。

小泉さん、貴方は錯覚しないで欲しい。高利回りという美味しい餌で毎年6000億ドル(70兆円)の資本流入をしつづけなければ破綻してしまう国は、他ならぬ米国自身であるという事実を。

 

     

アフガニスタン東部ガズニ州フタラ村で起きた旧タリバン幹部を狙った米軍の空爆。現場には犠牲になった9人の子供たちの靴が散乱したままになっている。     「AP=共同」

今回、レポートを書くことになったのは、実はこの写真を見て心を動かされたからである。残された片方の靴は、私の心にあまりに衝撃的であった。この靴が、もしも私の子供や孫のものであったら、私の慟哭は止むことがなかっただろう。届くものなら、アメリカ政府のお偉方に送ってやりたい一枚の写真だ。