世界経済崩壊の蓋が開く日

 

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  本格化するか? 世界金融不安

米国の低所得者向け住宅ローン(サムプライムローン)の焦げ付き問題から端を発した、世界同時株安がいよいよ本格化の兆候を見せ始めてきた。

米国のみならず、欧州、中国いずれもが異常なバブル状態であることは、今の世界の株価と経済の実情を知る人なら誰でもが知っていることである。しかし、各国の株価は今年に入ってから起きた何度か世界同時株安を乗り越えて、上昇カーブを描き続けている。

だが、今度の世界同時株安は、どうやら今までと様子が違ってきているように思われる。どこが違うのか?

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今まで比較的下げ幅が小さかった欧州市場の下げが大きい。

英国のFT100種平均株価は、9日に2%下げた翌日もさらに下げ幅を4%と広げており、日本株で言うなら、既に1000円を超す下落となっている。

 
     

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今回の株安に対しては、米欧の中央銀行が連日巨額の資金を供給している。 

株安に歯止めをかけるため行なった資金供給額は、欧州中央銀行(ECB)が9,10日の2日間で1560億ユーロ(25兆1000億)、米連邦準備制度理事会(FRB)は430億ドル(5兆円)となっている。

その額は、欧米を併せるとなんと30兆円を超す金額で、日本銀行も各国と協調して、10日には、1兆円の資金を即日供給する公開市場操作(オペ)を実施している。

金融機関同士の貸し借りが滞るのを警戒して、49の金融機関に、事実上無制限の資金供給に踏み切った、今回の欧州中央銀行の処置は異常である。それは、米国同時多発テロ直後の2001年9月以来となる異例の措置である。
 

 

なぜ今回、欧州市場の株の下げ幅が大きいかというと、米国の低所得者向け住宅ローンの焦げ付きが、フランスの大手銀行BNPパリバに飛び火したことが明らかとなり、もはや米国の不良債権問題が欧州全体に広がる危険性が出てきたからである。
 

サブプライムローンの実体

問題になっているサブプライムローンとは、年収が低い人や過去にクレジットカードで返済遅延が発生したことのある人たち向けの住宅ローンであるため、一般の住宅ローンに比べて金利が高く設定されている。銀行は借りやすくしようと貸し出し当初の2〜3年間は年利を5〜6%に低く抑えているが、その反動で、その後の金利は10〜15%の高金利となっている。

年間所得が2万ドル前後で、クレジットカードの返済遅延が発生したことのあるような低所得者が、10万ドル〜15万ドルもの住宅ローンを10%を越す高金利を上乗せして払い続けられるはずがない。このローンの利用が急増したのが2003年頃からであることを考えると、昨年秋頃から債務不履行が発生している理由がよくわかる。

そもそもこのローンは土地建物の急激な上昇を前提にしたものであるから、米国の経済が少しでも下を向き始め、不動産価格が下がりだしたら、焦げ付きが一気に拡大することは、火を見るより明らかである。既に米国では、住宅価格は天井をつけ、下がり始めている。となると、借り手は他の住宅ローンへ借り換えも出来ず、また、貸しての銀行筋も押さえた担保物件を融資金額以上で再販することが不可能となってくる。

となると、当然、銀行や投資ファンドの経営内容は悪化し、倒産数とその規模は巨大化してくる。その傾向が顕著に表れたのがこの春である。しかし、FRBも金融市場もそれを甘く見て警報を発しないまま、というより、マーケッ トへの影響を懸念するあまり、意図的に、実態を覆い隠すがごとき言動に終始してきていた。

現に、FRBのバーナンキ議長は7月19日の議会証言で、サブプライム関連の損出は「最大1000億ドル(12兆円)程度」と証言している。しかし、この証言が如何に虚偽に満ちたものであるかは 、少しでも実態を知るものなら容易に推察できることである。なぜならサブプライムローンの残高は、1兆3000億ドル(150兆円)まで膨らんでいるからである。

先に述べたサブプライムローンの性格からして、いったん信用不安が発生すると、「返済不履行 → 銀行倒産 → 中古物件急増 → 住宅価格急落 → 返済不可能」のドミノ倒し現象が発生することは明らかである。それが一番よく実感できるのは、10数年前にその洗礼を受けた日本人であるはずだ。それなのに事ここに至っても、 まだ証券会社に踊らされて、株式投資に血眼(ちまなこ)になっている人を見ると、学びのなさに呆(あきれ)れてかえって、言う言葉がない。

実は、欧米や日本の金融機関が恐れているのは、サブライムローンを貸し付けている銀行の倒産劇だけではないのだ。というのは、サブプライムの返済金を元手に、投資家に配分する債権などの金融商品を 、高金利に魅せられて、世界の金融機関やヘッジファンドが買い漁(あさ)っているからである。

現に、7月に、大手格付け会社がサブプライムローン関連の商品の格下げを発表したとたん、それらを大量に購入していた大手金融機関やその傘下のヘッジファンドの損出が、相次いで 明らかになっている。

米最大手証券会社ゴールドマン・サックスの傘下のヘッジファンド会社や米大手投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツやサーベラス社、ベアースターンズ社、それに今回欧州の株安の要因となった、フランスのBNPパリバ銀行の傘下ファンドなどに多額の損出が発生しているのは、その一例である。しかし、損出が表面化しているのはまだほんの一部に過ぎないこと忘れてはならない。

日本のマスコミはその損出額や倒産金額を記事にしていないが、実は、どれも皆、数兆円の規模に達しているのだ。もし、日本でそれだけの規模の損出が発生したら、どういった事態に至るかを想像したら、今世界の中央銀行や金融市場がどれほど動揺しているかがわかる はずだ。

日本とて、対岸の火事などと言っておるどころの騒ぎではない。「円キャリー・トレード」で外国の投資会社に貸し出された巨額な円資金は投資ファンドの倒産によって、戻って来なくなる可能性が多分にある からだ。もし、そうなったらどうなるのか? 考えただけで恐ろしくなってくる。

いずれにしろ、金融市場の動きは留まることはない。週明けから始まる世界の金融市場の動向が気になるところであるが、各国中央銀行の大量の資金供給で、しばらくしたら、いったんは市場の信用不安は収まり、株価の下落は止まるかもしれない。私はその可能性も大きいと考えている。

ローソクも燃え尽きる寸前に一段と激しく火焔をあげるように、ひょっとすると、さらに一段高を演じることになるかもしれない。 何しろ今金融市場に群がっている人間はまともな輩(やから)ではないし、裏で金融界を動かしている集団は、各国の中央銀行ぐらい簡単に動かせる力を持っているからである。

しかし、それも年末までが限界。 それ以上は持たせられないというのが私の考えである。その頃までには、サブプライムローンの焦げ付きが致命的な段階に至っている ことが、金融機関の四半期決算の発表で明らからになる上に、ニューヨークのテロ発生が追い打ちをかけることになる可能性が強いからだ。

いずれにしろ、世界の株式市場が雪崩(なだれ)を打って崩壊し始めるのは、もはや時間の問題であることに変わりはない。どうやら、2010年6月15日のニューヨーク株式市場崩壊に向かって地獄の蓋(ふた)が開く日は、そう遠くはなさそうである。株式市場に関わっておられる諸君はご用心あれ。

 

 

 

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