カタマラン船に乗る

コチャ・サルバドル湖へ行くには、カサ・マチゲンガ(Casa Machiguenga)から船でマヌー川を少し下ってカンパメントス(Canpamentos)で上陸したあと、ジャングルの中をおよそ 30分ほど歩く。(下図参照)  木々の間から聞き慣れない野鳥の声が聞こえるが、ツタや木の葉が邪魔をしてなかなかその姿を見ることが出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

下(南側)がマヌー川、上のU字型の湖がコチャ・サルバドル湖

Canpamentosから赤い矢印までジャングルの中を歩く

薄暗いジャングルを抜けると、広い川の流れをせき止めたような細長い湖が見えてきた。それがコチャ・サルバドル湖だ。さっそく 岸辺の桟橋から用意されたカタマラン船に乗りこむ。カタマラン船に装着された二艘のカヌーに同行した船長とポーターが乗ってこぎ手となる。

マヌー川を上り下りする船やチャロで乗った小型のボートと違い、カタマラン船には平らなプラットホームが装着されているので、撮影には好都合だ。

それでも遠く離れた小さな鳥の撮影はなかなか思うようにいかない。船を静止していても前後左右の多少の揺れは止められない。遠くの被写体をとらえよとする時には、この微妙な揺れが厄介なのだ。

船を出して対岸に近づくと、湖面にさざ波が立っている。ファインダーから覗くとオオカワウソの群れが流木の上から湖に飛び込み魚を捕っている姿が見えた。また近くには鵜(グアナイウ)が泳いでおり捕獲した 大きな魚を飲み込んでいる。
 

写真1


 

写真2


 

写真3


 

写真4


 

 

Giant otter @
(オオカワウソ)

 

Giant otter A

Guanay Cormorat
(グアナイウ) @

Guanay Cormorat
 A

「 カワウソ」と「ウ」の撮影に夢中になっていると、桑島先生がきれいな鳥がいると、湖岸の木の上を指さしている。見ると色鮮やかな七面鳥のようなと鳥がとまっている。 ポアジンと呼ばれるアマゾンにだけ棲む貴重な鳥である。鶏(ニワトリ)ほどの大きさがあるので撮影は楽だ(写真8〜9)。

双眼鏡で眺めていたガイドがこれは珍しい鳥だと言ったのは、流木の上で羽を休めるサンカノゴイ(Sun Bittern)だ。その姿は比較的地味な感じだが羽を広げた姿は 艶やかである。(写真 10〜11)

写真5


 

写真6


 

写真7


 

写真8


 

 

Razor-billed Curassow
(チャバラホウカンチョウ)

 

Rufescent  Tiger  Heron @
(ズグロトラフサギ)

Rufescent  Tiger  Heron A


Hoatzin @

ツメバケイ
(ホアジン)

 

 

写真9


 

写真10


 

写真11


 

写真12


 

Hoatzin A

Sun Bittern
(サンカノゴイ)


羽を広げた
Sun Bittern
 

Sideneck Turtle

 
Razor-billed Curassow
(チャバラホウカンチョウ)

特徴的な赤くふくれたクチバシ、青黒い羽毛と傾いた白い尾羽を持つこの鳥は、熱帯雨林の草地の中では目立ちやすい存在である。 そのため、人間のわずかな気配を感じただけでも、すぐに身を隠してしまう。

狩猟の対象として多くのハンターから狙われているこの鳥にとって、一番怖いのは人間で、狩猟や捕獲が禁じられているマヌー川周辺こそ、安住の地ということになるのだろう。

そのエリアでは、尾羽を立てながら大きな足で、さまざまなフルーツや種それに若枝や新芽をとって食べている姿を見かけることが出来る。

Hoatzin (ツメバケイ)

マヌーの低地にある湖や沼の岸辺に群れている。主な餌は湖岸の木の葉や新芽それに沼地の植物で、彼らはそれらを丸飲みし、異常に大きい餌袋(ソノウ)で砕いて消化する。

ホアジンの子育ての慣習もまたユニークである。2羽から7羽が連帯して、他のツガイが産んだ卵を暖めたり孵ったヒナに餌をやるのに協力しあう。この「ヘルパー」 制の子育て方法はツガイだけの抱卵、給餌に比べて大変有利である。

というのは、豊富な餌を与えられてヒナたちは早く成長するため、天敵から狙われやすい巣立ちまでの期間を短くできるからだ。

日本でも「ヘルパー」が給餌に協力する野鳥がいる。私のHP(エナガの巣立ちを追う)でも紹介したエナガである。 彼らも巣立ちの直前、ヒナにたくさん餌を与えねばならない時期に、連れ合いのいない仲間や孵化に失敗した仲間が給餌に協力し合うのだ。

弱者は協力し合うことによって種の保全が計られるという、単純な理屈である。人間も鳥から学ぶことは多いようだ。
 

 
 
ガイドが高い木の上を指してタマリン、タマリンと叫んでいる。カメラを向けると白樺に似た木々の間を見たことのない小さな猿が飛び交っている。マヌーだけに棲む猿だという。タマ リンとは南米に棲むシシザルのことだ。 

白い口ヒゲを生やしたのが「Emperor  Tamarin」(写真13)。一方、全身が赤褐色で、口の周りに白胡麻(しろこしょう)を塗りつけたようなのが「Saddleback Tamarin」(写真14)。その名は背中(back )が黒や黄色、赤褐色の馬の鞍(Saddle)に似ていることからきている。

「Saddleback Tamarin」はマヌーで最も小さい猿で、体重は1ポンド(0.4s)もないほどだと言うから小さな果物並の重さしかない。そのため 彼らは、他の体の重い猿が近づけない木に登って、木の実や花密、小さな穴から吸い取った昆虫などを餌にしている。

 

 

写真13


 

写真14


 

写真15

写真16


 

Emperor  Tamarin

Saddleback Tamarin

 

Black Spider Monkey

 

Squarrel Duko

 

  今回の旅で是非見てみたかったのは「ヤマセミ」であった。

日本のヤマセミは一種類、体長が41〜43センチ、体は白と黒のまだらである。色の艶(あで)やかでは「カワセミ」のほうが勝っている。しかしペルーアマゾンに棲むヤマセミは日本のカワセミによく似てカラフルである。

ガイドブックにはアマゾンの「ヤマセミ」を「40センチもある カワセミ」と間違って書かれていることが多い。その姿がカワセミに似ているのと、英語名では両者とも 「Kingfisher」 と呼ばれるためだ。

世界中で85種類もいるヤマセミだが、アメリカ大陸にはたった6種類しかいない。その中でマヌーには4種類のヤマセミがいる。 しかし決して数は多くないので、短期間の旅行では1〜2種類を見れればよい方である。しかし今回は3種類ものヤマセミを、それも見るだけでなく写真にまで収めることが出来た。私はもちろん、HPでその姿を見ることの出来る読者もまた幸運である。

「Ringed Kingfisher」 (クビワ・ヤマセミ) と 「Green Kingfisher」 (ミドリ・ヤマセミ) は米国のテキサスから南米大陸最南端のフェゴ(Fuego)島まで幅広く生息している「AmazonKingfisher」 (オオミドリ・ヤマセミ) は中南米南部とペルー北部のアマゾン川流域だけに生息するヴァード・ウオッチャーや野鳥写真家にとってあこがれの鳥だ。

これらのヤマセミは日本のそれと同様、水中へ見事にダイビングして小魚を捕まえる。彼らの巣は川や湖の岸辺の土手に作られている。

我が国のカワセミとヤマセミも掲載しておいたので、比較して見て頂こう。

 

 

写真17


 

写真18


 

写真19


 

写真20


 

 

Cocoi Heron
(ナンベイアオサギ)

 


Green Kingfisher
(ミドリヤマセミ)
のメス
 

Amazon Kingfisher
(オオミドリヤマセミ)
のオス

Ringed Kingfisher
(クビワヤマセミ)
のオス

 

 

 
 


日本のカワセミ
 

日本のヤマセミ