カンデラブロ「燭台」

リマから南へ250キロ、車で3時間半ほど走ると小さく突き出た半島の町、パラカスに着く。カブレラ・ストーンのイカはそこから南に60キロ、さらに200キロ南下すると「地上絵」で有名なナスカがある。(添付した地図を参照)

パラカスの漁港エル・チャコから船に乗っておよそ20分、振り返えると、海岸の切り立った絶壁の上に広がった砂丘が見える。 その砂丘の上に、有名な「カンデラブロ(Candelabro/ Candelabrum 燭台)」と呼ばれる地上絵が描かれていた。

全長183M、幅70M、線の深さ1〜1.2M、線の幅4Mの巨大な地上絵は、ナスカの地上絵に劣らぬほど壮大 である。この「燭台」に似た地上絵がいつ、誰の手で、何のために、どうやって描かれたのか、また何を描いたものなのかなど、ナスカの地上絵と同様、すべて謎のままである。

ナスカとの違いは、丘陵の傾斜地に描かれているため、上空からでなくても眺められる点である。なお、海岸からの展望は、「アンデス縦断3000キロの旅」の「パラカス」編に掲載してあるので、ご覧頂きたい。

パラカスの地上絵の最大の謎は、砂丘に作られた溝が、なぜ長い間埋まらずにいるかという点である。砂丘は傾斜地に作られている上に、1年中、海からの強風にさらされ続けている。ならば、1メートルや2メートルの溝なら数日もしたら埋まってしまうはずである。それが数百年ないしは数千年にわたって埋まることなく、描かれた図形を維持し続けているのである。

その謎を解くためには、地上絵を間近に見て、それがどのよう して作られているのかを確かめねばならない。そこで、砂丘を訪ねるために、陸路、パラカスから半島の先端に向かて車を走らせた。

砂丘を登るにつれ、まるで火星探査機が撮影した火星の表面を彷彿させるような赤茶けた風景が広がり始めた。砂丘を越え、海側の傾斜地に出ると、石積みの柵が設けられていて、そこから先は車の進入が禁止になっている。徒歩では入れるようなので、リカルドの案内で地上絵に向かってしばらくすると、前方に巨大なカンデラブロの姿が見えてきた。

謎を解くヒント

90年代のはじめ、カンデラブロの地上絵は若者の乗るモーターバイクですっかり崩され、絵の識別が出来ないほどに荒らされてしまった。

その姿を写真で見た私は、カンデラブロもはやこれまでと思ったほどである。ところが2年前、船上から眺めた時、その姿が元通りになっているのに驚ろかされた。一体どうやって修復したのだろうか?  それ以来持ち続けてきた疑問を、同行したリカルド・ホチャモビッチ氏に尋ねてみた。

リカルドはカブレラ博士の愛弟子で、博士の没後、カブレラ・ストーンを守る会の事務局長をしている人物である。

 地図はクリックすると拡大できます。 (『天の鏡』より 転写)


リカルドによると、10年ほど前、地上絵が荒らされ地元の人々が大騒ぎしたとき、カブレラ博士は「そのままにしておけば、元の図形に戻るから心配する必要はない」と述べたという。結局、地元の人々も 手の施しようがなく、車の進入禁止処置をとっただけで、荒らされた砂絵はそのまにしておくことにした、というのだ。

ところがしばらくすると、博士の預言通り、バイクの走った跡はいつの間にか消え、見事にカンデラブロの姿が復元したのだ。地元の人々はもとより、リカルド自身も博士の眼力にすっかり舌を巻いてしまった という。

カブレラ博士がなにゆえ地上絵の復元に確信を持っていたのか、再びリカルドに尋ねてみた。リカルドは答えた「ヒントは磁気です」と。私はそのとき「ナスカの地上絵」の秘密について、博士が著書「The Message Of The Engraved Stone Of  ICA](『人類史をくつがえす奇跡の石』(徳間書店刊)」の中で語っていたことを思い出していた。

博士は、著書の中で地上絵の「サルの絵」には驚愕的な秘密が隠されていることを語っていた。そしてあの「カブレラ・ストーン」にもその絵は描かれていた。

私の心に衝撃が走った! 頭の中を6年間の探索のシーンが走馬燈のように走り抜けた。やがて そのすべてが一点に集約していった。「カブレラ・ストーン」、「ナスカの地上絵」、「カンデラブロ」、「UFO」 ・・・・・・・それらが皆一本の線で結ばれていった!

あなたの謎解きと私のそれは一致するだろうか? 私の答えは次なる著書で語ることにする。

 

 

 

カンデラブロを挟んで
海岸の反対側の砂丘

NASAの火星の写真を
思いだす風景だ

 

地上絵に近づくと車の
進入を禁止する看板が
立っている

南側から近づくと
カンテラブロの全景が
見えてくる

リカルド、モニカと
地上絵の前に立つ

 

 

 
   

溝の幅と深さを測るために
図形の下端に近づいてみた

図形の大きさがわかるだろう

燭台の下の台形がうっすらと見える

 

眼下は数百メートルの
絶壁だ