標高2600mの景観

 

まだ下界は夏の猛暑が尾を引いて秋の気配が漂ってこない昨今であるが、紅葉の便りが聞こえてきたので、標高2612mの中央アルプス・千畳敷カールを訪ねてみることにした。 訪ねたのは東京講演の前日の7日、現地はちょうど紅葉が見頃を迎えており、下界とは一足も、二足も速い秋の彩りが広がっていた。

我が家から中央高速で名古屋方面へ、途中、駒ヶ根インターチェンジで降りて、駒ヶ根高原「菅の台バスセンター」へ向かう。そこから先は一般車両は乗り入れ禁止になっているので、 循環バスで「しらび平」へ向かい、さらにロープウエイで千畳敷駅へと登る。家からおよそ2時間半の行程である。

日本で一番高い千畳敷駅へ一気に駆け上がる高速のロープウエイから眺める景色は迫力満点。およそ1000mの標高差をわずか7分ほどで進むので、 まるで季節の移り変わりを走馬燈を眺めるように楽しむことが出来る。

ロープウエイの起点、標高1662mの「しらび平駅」付近ではまだ紅葉はほとんど見られないが、さすがに2000mを超えた辺りから次第に色づき始めたカラフルな景色が眼に飛び込んでくる。

ロープウエイを降りて駅の外に出ると、眼の前に標高2931mの「宝剣岳」や「サギダルの頭」と呼ばれる高峰の連なった雄大な景色 が広がり、眼下には見事な紅葉に染まった広大な裾野が広がっている。ここから宝剣岳にはおよそ1時間ほどで行けるが、八丁坂という急坂を登ることになるので、普段足腰を鍛えてない人は、登頂は 諦めた方がよいかもしれない。

足に自信のない人は、八丁坂の登り口から逆に下に向かって降りていくと、千畳敷カールという展望地に出る。そこにはすぐ近くに「剣ヶ池」 という小さな池があり、ゆっくりと休みながら、眼前の峰々やそのすそ野に広がる紅葉を楽しむことが出来る。

10月に入ると、夜には2度位まで下がるようだが、当日は晴天でセーター一枚で寒さを感じずに探索することが出来た。バスもロープウエイも「通年運行 」をしており、これから先の冬場にも訪ねることができるので、素晴らしい霧氷や一面の雪景色を楽しむことが出来る。

また、7月に入ると、ミヤマクロユリやイワツメクサなどの珍しい草花を眼にすることが出来るようなので、初夏の訪問もまた楽しみである。

それでは皆さんには、一足早く中央アルプスの雄大な景色と、深紅のナナカマドとダケカンバの黄金色に輝く紅葉をお楽しみ頂くことにしよう。

 



 


ロープウエーの出発点
「しらび平」駅付近ではまだ
紅葉は始まっていなかった。
 

1000mの標高差を
わずか7分で駆け上がる
高速のロープウエイ

ロープウエイは通年運行
なので、1年中いつでも
訪ねることが出来る。

 



 


標高が2000mを超すと、一気
に紅葉が眼に飛び込んできた。
 

しらび平から眺めた
「サギダルの頭」

「宝剣岳」(標高2931m)

 



 


この峰の先に「前岳」がある。
 

「宝剣岳」に向かう山道

八丁坂

 



 



 

「宝剣岳」

「宝剣岳」山頂

 



 


「剣ヶ池」 @
 

「剣ヶ池」 A

「剣ヶ池」B

 



 


「宝剣岳」から「サギダルの頭」
へと連なる峰
 

見頃のナナカマド

ダケカンバとナナカマドの
先に「宝剣岳」が見える