「貧しき者」と「富める者」の戦い
 

 


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パリの「黄色いベスト運動」混乱の危機

 
 

 
 



パリの凱旋門の前で行われた18回目の「黄色いベスト運動」

 
 

昨年11月にフランスのパリで始まった「黄色いベスト運動」。日本のマスコミでも何度も報道されたので皆さんもご存知のことだろう。この運動はマクロン大統領による燃料税引き上げ方針に反対して起きたもので あるが、実態はフランスで広まった格差社会に対する反政府運動、つまり「貧しき者」の「富める者」への戦いで、デモ隊の中心は穏便に生活苦を訴える労働者・年金生活者たちであった。

そのため当初は国民の支持を得ていたことから、毎週行われる全国的なデモに黄色いジャケットを来て参加する人が増え、ピーク時にはその数は24万人に達していた。しかし、その後野次馬や暴徒が混入し破壊行為が相次いだため、 次第に参加者の数は減って来ていたものの、最近は落ち着きを取り戻し、その後もデモは続けられて来ていた。

デモを重く見たマクロン大統領も長期にわたるデモの沈静化を図るため、ことし1月から地方都市に出向いて自治体のトップや市民と直接対話する集会を続けていて、一時、20%台前半まで落ち込んだ大統領の支持率は、回復傾向を見せて来ていた。

そして18週目に入った3月16日のデモには、先週より4000人ほど多い3万2000人が参加するところとなったのだが、パリ中心部のシャンゼリゼ通りで行われたデモでは暴徒が便乗し、高級老舗カフェやブランド服飾店など 90店舗が放火や略奪にあい、230人を超す拘束者が出る事態となってしまった。

マクロン大統領はこの週末、気を許して休暇をとってスキーに出かけていたため、事態を受けて16日夜、急きょパリに戻り、内務省で緊急対策会議を開催。「シャンゼリゼ通りで起きたことは、もはやデモとは呼 べない」と述べ、今後、暴徒が参加するデモは認めないことを発表。大統領はまだまだ坊ちゃん育ちで、考えが甘いようである。

 
 

 
 



暴徒による放火と暴力は、シャンゼリゼ通りのイメージを傷つけてしまった。
 

 
 

 
 


 

 

 
 

 
 


 

 

純粋な抗議デモとしてスタートした「黄色いベスト運動」であるが、今回のように暴力行為を行う暴徒が参加することによって、市民から反発を買う事態と化してしまい本来の抗議運動が出来なくなってしまう。そうなると、貧困にあえぐ市民にとって不満の声を政府に届ける手段を奪われてしまうことになってしまう。それは貧者の鬱憤をさらに蓄積させることになるだけに心配である。

一方、貧者の不満を少なくしようとするフランス政府も、そのの財政状況は相当苦しいようなので、 今回、デモをスタートさせた地方住民の要望を満足させるまでの政策の実施は難しそうである。そのため、デモは今後も続く可能性が大きいが、一部の暴徒による破壊行為が繰り返され て再び混乱が起きるようなら、政府による厳しい措置がより大きな暴動をもたらすことになるかもしれない。

これから先、「貧しき者」と「富める者」との争いは次第に増加し、その争いの規模が大きくなって来ることは、既にお伝え済みである。今回のデモが生きていくことがぎりぎりの状況下にある 貧困にあえぐ市民の富める者への反発であることを考えると、これから先、同様なデモがフランスだけでなく世界各地で発生してくる可能性は大である。

自然災害に襲われ続ける米国,EU離脱で混乱に陥っている英国、そして、これから先、厳しさを増しそうなフランスでの「貧しき者」と「富める者」との争い。そうした動きに拍車をかけることになるのが、 世界的規模の政治と経済の混乱である。オリンピック景気に浮かれている我が国であるが、 混乱の時が刻々と近づいて来ていることを忘れないでいて欲しいものである。

 
 


店舗の窓ガラスが壊され高価な商品が略奪された。

 

 
 

 
   

 

 
 

 
     
 

 




 

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