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岩戸隠れ伝説
 

日本神話に登場するイザナギ神・イザナミ神は高天原から地上界に降り、日本列島を形成する島々を次々と生み出して、そこに住む人々を導いた初代の神々である。イザナギ・イザナミの神話 が、不思議なことに沖縄・「久高島」の神話に登場するシラミキヨとアマミキヨの神話によく似ていることは、前回記した通りであるが、古代エジプト文明を築いたオシリス神と彼の死後、その復活を願って冥界におもむくイシス神の物語にも大変よく似ていて驚かされる。

夫婦となったイザナギとイザナミは兄妹であるが、オシリスとイシスも同じく兄妹関係にあった。また、イザナミは【最初の死人】となり【死の国(冥界)を支配する神】となるのだが、その点もオシリスと まったく一緒である。その他にも中国の神話にもよく似た話が出てくることを考えると、世界の歴史が共通の原点を持っているように思えてくる。

このイザナギ・イザナミの両神の子供として誕生し、この国を導いたのがアマテラスオオミカミ(天照皇大御神)である。アマテラスは弟・スサノオ ノミコト(須佐之男命)が田の畔(あで)を壊したり、田に水を引く溝を埋めたりの度を超した乱暴に怒り、天岩戸に引き篭 (こも)ってしまう。その結果、高天原も地上界(葦原中国も暗闇の世界となり、 世の中は暗くなり、さまざまな禍(わざわい)が発生することになる。

 

 

 
 


天の岩戸開きの場面 (伊藤龍涯筆・神宮微古館所蔵)

 

 

神々は大いに困り果て、【天の安河】に集まって会議をする。オモイカネ神の発案により、岩戸の前で様々な儀式を行ったあと、 女神・アメノウズメ ノミコトが踊ることになる。アメノウズメは伏せた桶の上に乗り、背をそり胸の乳房をあらわにし、裳の紐を股に押し下げてエロティックに踊ったので、 集まった神々は大笑い。

高天原に鳴り轟く八百万の神々の笑い声を聴いたアマテラスは、いったい何事だろうと天岩戸の扉を少し開け、「世の中は自分が岩戸に篭(こも)って闇になっているというのに、なぜ、アメノウズメは楽しそうに舞い、八百万の神 々は笑っているのか」と問うた。

アメノウズメが、「貴方様より貴い神が表れたので、それを喜んでいるのです」というと、アメノコヤネとフトダマがアマテラスの前に鏡を差し出した。 その鏡に写り出された自分の姿がその貴い神だと思ったアマテラスが、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けたとき、隠れていたタジカラオノミコト(手力男命)がその手を取って岩戸の外へ引きずり出した。

すぐにフトダマがしめを岩戸の入口に張り、「もうこれより中に入らないで下さい」と 申し上げる。こうしてアマテラスが岩戸の外に出てくると、高天原も地上界(葦原中国)も明るくなり、もとの世界を取り戻すことが出来た。 全国津々浦々の神社の神殿入り口に「しめ縄」が張られているのは、この岩戸の入り口に張られたしめ縄が始まりであるとされている。

以上が、我々が小さい頃よく聞かされた【アマテラスの岩戸隠れ】のあらましであるが、アマテラスが天の岩戸に隠れて世の中が闇になるという話は、日食を表したものだとか、冬至を過ぎて太陽が弱まった力を取り戻すということを象徴したものだというのが、 アカデミックの世界に於ける一般的な解釈である。

しかし、日食なら数時間で完了してしまうから、神々が集まって相談したり、踊ったりする間などない。また、冬至なら、毎年繰り返す自然現象なので、特段取り立てて大騒ぎする必要 もない。神話として営々と伝えつづけられていることを考えると、それは、 もしかするとマヤ族の長老・ドン・アレハンドロが私に語ってくれた長期暦の終わりにやってくる、何日間、何ヶ月間の暗闇の世界の到来と同じ自然現象であったのかもしれない。

もしそうだとしたら、そうした宇宙規模の現象が発生する前後には、多くの自然災害が発生し、田や畑に大きな被害が出たはずである。実は、【岩戸隠れ 】の元となったスサノオの乱暴行為はそのすべてが農耕に関連するものであり、暴風雨などの自然災害を表したものだともされている。それを考えると、度を超した スサノウの乱暴は暗闇の世界の到来を前にした、地球規模の自然災害の発生を表現しているのかもしれない。

6月と12月の晦日(みそか)に、宮中で行われる「大祓」(おおはらい)の儀式で読み上げられるのりと)では 、このスサノオの行いを総称して天つ罪、つまり天が引き起こした自然災害としていることも、それを裏付けているように思われる。もしも、 「天の岩戸」隠れが史実に基づいているものだとしたら、人類は再びアマテラスの「岩戸隠れ」に遭遇することになるのかもしれない。

 

 



 


阿蘇五岳の根子岳
(ねこだけ・1408m)
 

南阿蘇村の鎮守の森の中に
小さな社(やしろ)が立っていた

阿蘇五岳の最高峰の
高岳(1592m)

 



 

 


南外輪山
 

 

Co2対策で造られた風車

 

伝説・根子岳のギザギザ頭

阿蘇五岳の高岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳そして末っ子の根子岳は誰が一番早く高くなれるか競っていた。結果、根子岳が長男の高岳さえも追い抜いて一番高くなった。しかし、それは鬼たちに阿蘇の国で自由に暴れさせる代わりに、竹田 地方から土を運んで自分の頭に積ませたからだった。これを知った阿蘇大明神は激怒し、根子岳の頭をピシャリピシャリと何度も叩いた。そのおかげで根子岳の頭はギザキザになってしまった。
 

次回は「天の岩戸神社」を訪ねます

 

  

 

 

 

 

 

 

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