デトロイト市の破綻が意味するもの


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GM本社の前に廃墟が広がる(ロイター)

 


米ミシガン州のデトロイト市が18日に連邦破産法9条の適用を申請するところとなった。米地方自治体の財政破綻としては過去最大規模となる。 自動車産業の中心地として20世紀の米国を支えてきたデトロイト市であるが、自動車産業の衰退、中でも2008年9月のリーマンショックによるGMとクライスラー社の経営破綻 によって工場移転や人口移住が一気に進み、市の財政が立ち行かなくなったというわけである。負債総額は180億ドル(1兆8000億円)。

GMとクライスラー社が政府の救済によって、経営破綻後1年半という異例の短期間で株式市場に再上場され、空前の利益を計上しているというニュースを見 せられている我々は、両社の本拠地であるデトロイト市も復活し、財政の立て直しが行われているものと考えてしまう。しかし、実情はまったく違っており、工場が他に移行しているため税収は減る一方で、当然人口も ピークの150万人から70万人へと半減し、失業率も20数パーセントに達していたのである。

GMやクライスラー社は政府によって救済されて復活し、経営陣はほくそ笑み、一部の管理職社員も高収入を得る一方で、工場閉鎖など徹底したリストラによって 一般従業員は大幅に削減され、退職金や年金も圧縮されるところとなった。その結果、デトロイトでは多くの弱者が犠牲となって、一部の強者が富を得続けると いう弱肉強食の世界が再現され、貧富の差は更に拡大するところとなってしまったのである。

実は日本のマスコミは取り上げなかったので、ほとんどの日本人が知らずにいることだが、デトロイト市に先立って昨年、カリフォルニア州ではサンバーナーディーノ市とストックトン市が破綻申請を行っている。そもそも両市が存在するカリフォルニア州は、州そのものが2008年に400億ドル(4兆円)の赤字、2010年には720億ドル(7兆2000億円)の赤字となっており、 実質的に破産状態となっていることは承知のことである。
 

 

 
 


ストックトン市の住宅街はその半分が空き家となっている

 


ストックトン市の破綻


先に破綻したストックトン市はサンフランシスコの東に位置し、そのベットタウンとして急速に発展してきた都市であるが、2007年から始まった住宅バブルの崩壊で、ローンを払えず家を手放す人が急増しその数は約3万人、その結果 、この街の住宅の半分が空き家となってしまった。

負債総額はデトロイト市に比べ9億ドル(900億円)と遙かに小さいが、2ヶ月後に迫った再建計画が州政府から認められなければ、市庁舎をはじめ公園や消防署、警察の施設が一斉に人手に渡り、まさに市の運営が不可能となってしまう。

当然のことだが、財政破綻により公務員の数が大幅に削減されており、その内訳は、一般職員62%、学校教職員57%、消防署員30%、警察官25%となっている。問題は警察官の削減により、治安が悪化して来ていることである。1日2回のパトロールが出来ていたものが、現在は3日に1度が精一杯となっている。

警備体制が弱体化するのと併せて、職を失った人々のスラム街化とそこを根城とする暴力団の移住によって、街の治安は一気に悪化し、米国で最も危険な都市の一つとなっている。 その結果、殺人事件が毎週のように発生し、強盗事件は1日に3件起きている一方で、警察官の削減で検挙率は下がり続け、事件の10件に1件ぐらいしか逮捕者が出ていないのが現状である。

こうした治安の悪化はデトロイト市でも同様で、窓が全部破られブラインドが風になびく15階建てのビルや、焼けたまま放置されて壁がくすんだ住宅が立ち並び、街灯の40%が 故障して点灯しない住宅街は、夜は不気味で歩くことすら恐ろしい状況である。

 


 
 


公務員の削減率。25%の警察官の削減と30%の減給は、治安悪化へと導いている

 


都市の破綻は貧富の格差を広げる

米国の一部の地方では、リーマンショック後も景気回復が遅々として進まないため、財政の立て直しが難しい状況が今もなお続 いており、財政破綻が懸念されている群や都市など地方自治体の数は100を超していると言われている。それだけに、再び本格的な景気悪化に向かい始めたら、数十の都市が次々と財政破綻に追い込まれることは間違いない。

それにしても、デトロイト市やストックトン市の実体を見れば、米国経済が着実な景気回復を見せていると伝えるマスコミ情報が空言であること分かる。それなのに、ウオール街の株価は上がる一方で、市場最高値を更新し続けて おり、リーマンショック時に付けた7000ドルから16000ドルへと2倍を遙かに超した高見に達している。

今しばらくは高騰を続けるものと思われるが、経済の実体から見ればどう考えてもおかしな相場で、政府がばらまいた数十兆円という資金が株式市場や商品市場に流れ込んで、博打相場を形成しているとしか言いようがない 、というのが実感である。

その結果、株式を保有する富裕層は潤う一方で、デトロイトやストックトンに代表される職や住まいを失った貧民層は生きていくのが精一杯となり、貧富の格差はますます広がる一方 である。高級住宅街とスラム街、こうした格差社会の行く着く近未来を「ホピの預言」は次のように伝えている。

高い地位の漁師と低い地位の漁師との間に、狩り合いが始まるだろう。高い地位にいるものたちは、おそらくテロリズムを通して、獣(けだもの)のように 狩られるであろう。指導者たちも報復し、狩り合い合戦が始まる。やがてこの状況は力を増して広く行き渡り、世界中どこでも統制がきかなくなるであろう。

どうやら間もなくやってくる世界経済の崩壊は、高い地位の漁師と低い地位の漁師、権力者と従僕、富める者と貧しき者との狩り合い合戦の始まりとなりそうである。

 

 

 

 


 

 

 

 

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