EU財務危機一先ず回避


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一先ず安堵、だが

 


 
 


一先ず安堵(あんど)し、ユーロ圏首脳会議の後、記者会見する
ギリシャのパパンドレウ首相=27日、ブリュッセル(ロイター)

 

 

EU首脳会議は、26日から27日未明にかけ10時間に及ぶ議論を経て、ギリシャ国債の元本削減や欧州金融化安定基金の拡充などを決定したことは 、既にご承知の通りである。

合意の主要な柱は以下の通りである。

@ ギリシャ国債の元本を50%削減 し、国債を所有する銀行は債権を50%放棄する。
A 欧州金融化安定基金(EFSF)を拡充し1兆ユーロ(105兆円)に拡大する。
B 銀行の事故資本比率を9%に引き上げる。

こうした決定を受けて、一先ず欧州の債務危機は山場を超したとされて、欧米を始め各国の株価は3〜6%急上昇し、先のHPで記した通りの展開を見せている。 その結果、ニューヨークダウ平均の先週末の株価は12,300ドルまで反発し、10月3日につけた安値から1600ドル(15%)近く上昇して引け ている。

これから先は、さらに11月に開かれる世界20ヶ国主の首脳会議(G20)で、中国やブラジルなどのブリックス諸国が欧州金融化安定基金の拡充に協力することが表明され、 今回のEUの債務危機は乗り越えたと見なされることになりそうである。貨幣制度崩壊を食い止めようとしている輩にとっては思惑(おもわく)通りにことは進んでいる。

しかし、問題の本質が本当に解決されたかというと、決してそうではないのである。見逃してはならないのはギリシャ救済やEFSFの拡充には絶対的な条件がついているという点である。つまり、ギリシャを始めとする財務危機(デフォルト)が取りざたされているイタリアやポルトガルなどに対して、徹底的な債務削減の実行が求められていることである。

借金で首が回らなくなった人間に金を融通する際に、生活を切り詰めるよう申し渡すのは当然のことである。しかし、問題は公務員の削減や賃金カット、年金の減額や支給年齢の引き延ばし、さらには教育費の上昇などに国民が何処まで耐えられるかという点である。

さらには、欧州各国の銀行は保有するギリシャ国債の元本を50%放棄することを義務図けられた上に、自己資本比率を9%まで上げねばならないことになった。 放棄するその額はスペインの5行だけで170億ユーロ(1兆8000億円)にも達するだろうと言われているから、フランスやドイツの銀行では大変な額になりそうである。そのための資本増強策である。

その結果、各銀行は融資する金を少なくしなければならなくなるために貸し渋りがおき、一般家庭だけでなく企業や行政の資金調達が難しくなってくる。つまり今回の支援策によって、冷え込んだ経済がさらに低迷し、税収が減少 して更に財政赤字が増えるという矛盾が発生してくることになるのだ。

2009年のリーマンショックのあと、各国政府が膨大な財政投資を行い、世界的な金融危機を乗り越えたかのように思われていた。しかし、その後2、3年経ってみると、欧州だけでなく米国の財務状況や経済状況は一段と悪化し、問題はさらに深刻になっていることが露呈され るところとなった。同じように、今回のEUの財務危機も遠からずしてそうした状況が再現される可能性が大である。私はそう考えている。
 

 

 
 


格差問題を訴え、世界的な広がりを見せているる米国のデモ

 


特に気がかりな点が2つある。一つは欧州を始め各国の財政投資は今回が最後となるであろうという点である。欧州金融化安定基金(EFSF)への拠出金の大半を占めるドイツとフランとて、これ以上の出資は無理である。自国の財政が問題が生じてくる上に、これ以上の支援は国民が容認しないと思われるから だ。

フランスのサルコジ大統領は、今回の支援策決定は「家族を見捨てない。欧州各国は離れることが出来ない者同士である」という考えに基づいたものであると述べている。しかし、そうして考えには限度があるはずだ。怠慢な経営を続けてきた国々をなにゆえそこまで救わねばならないのかという不満は 、ドイツを始めとする救済国側に根強いからである。民族の違いは今もなお歴然と残っていることを忘れてはいけない。

もう一つの点は、ウォール街で発生した格差是正を求める市民運動が既に発生から1ヶ月経過しているというのに、一向に収まるどころか世界的な広がりを見せている点である。このデモの背景には既に前回述べたように道を踏み外した貨幣制度がもたらした人間の2分化、つまり、わずかな富める者と多くの貧者、一部の支配するものと多数の支配され る者との二極化がある。

ホピの予言は益々広がる格差という病的世界にいらだった民衆、すなわち持たざる者、貧困にあえぐ虐げられたマイノリティー(弱者)たちが、そうした世界を統治しているマジョリティー(強者)に対して結束して戦いを始めるようになるだろうと述べている。 私が『謎多き惑星地球』で紹介した「高い地位の猟師と低い地位の猟師との間の狩り合い」の始まりである。

私はギリシャのデフォルトはもはや避けられないことと思っている。恐らく、ポルトガルもイタリアもその後を追うことになるのではないだろうか。しょせん今回の救済策はその場しのぎに過ぎないことがそう遠からずのうちに 判明するはずだ。それと時を同じくして、99%の民衆、マジョリティーのデモの暴動化の動きが見え始めた時、この秋とは比べものにならないほどの危機的状況が到来する可能性は大である。

12.000ドル台を回復し、まるで欧州や自国の財務危機などなかったかのような動きを見せているウォール街。ひょっとすると史上最高値にまで進んでいくかも知れないダウ平均の動きを見ていると、まさに狂気の沙汰としか言いようがない。

今は欧州問題の評論家と化している米国とオバマ大統領であるが、火がついた自国の財政問題、実質2600万人を超してきている失業者対策、広がりを見せている格差反対デモ ・・・・・・これらの難問にどう対処していくのか、一歩間違ったら地獄である。この点も世界の識者は固唾(かたず)を飲んで見守っているところである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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