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早まる南極の氷河の溶解スピード
            世界の海水3m50cm上昇

 
 

 
 


「終わりの近い氷河」と呼ばれているスウィーテス氷河
 

 
 

 
 

 

 
 

温暖化が進む中、北極海周辺の氷河や氷床が融けて、世界の海面を上昇させているニュースについては、これまでに何度かお伝えして来た。昨年9月12日付の記事「海水温上昇がもたらす異変A」ではグリーンランドを覆う日本列島の3倍もある氷床が近年すごいスピードで溶け始めている様子をお伝えした。

グリーランドの溶解の要因は温暖化による島の気温の上昇によるもので、平年より14〜17℃も上昇して地表近くのいくつかの場所で史上最高気温24℃を計測、その結果、氷床の最も厚い3000mの頂上部に設置されている温度計も、気温が融点に達したことが記録されていたた。

今回、お伝えするのは、北極とは反対側の南極大陸の西海岸に浮かぶ「氷河」とそれに繋がる「氷床」の 溶解の情報である。伝えたのは前回グリーランドの氷河の溶解と同様イギリスのBBCニュースである。

南極大陸の西部、15年前、私が訪ねた南極半島からはおよそ1600キロほど西側に離れたスウィーテス氷河は、大きさがイギリスとほぼ同じぐらいの巨大氷河である。 どうやらこの氷河が今まで考えられていたよりはるかに速いスピードで溶けていることを、国際的な科学チームの調査隊が突き止めたようである。

このスウィーテス氷河(Thwaites Glacier) の浮かぶエリアは世界で最も行きにくい場所の一つで、これまでにこの地に立ったのはわずか4人の人間だけだという。というのはここは一番近い観測基地から1600キロも離れているためで、今回調査員と機材を氷河の先端に届けるのに5週間を要したというから、容易に調査できる場所でないことは確かである。

そのためこれまで溶解の実態が十分につかめない状態が続いていたが、今回、調査隊チームによって初めて本格的な調査が行われ、それに同行したBBcニュースの記者とカメラマンが、その様子を伝えてくれたというわけである。

 
 

 
 


氷河の最先端の海水と接している状況を見るために、
氷河の中にドリルを入れる研究者。

 

 
 

 
 


氷河に入れるドリル

 

 
 

 
 


氷河から600 m下で海面に達した瞬間

 

 
 

 
 


氷河の先端が海水と接している空間。 ここから氷河の溶解が始まっている。

 
 

調査の結果明らかになった点の一つは、氷河の厚さは約600mに達しており、残された氷河全体が融けたら、世界の海水面を50センチ 上昇させることになるということである。また、氷河の溶けた後は氷河より内陸部にある氷床も溶け始めることになり、その結果、海面は 更に3m上昇するため、世界の大都市の多くが海に沈むことになりそうである。

今回の調査で科学者が最も恐れていた事実が明らかとなった。それは氷河の溶解のシステムである。現在、温暖化で暖かくなった海水が南極の周りを回って氷河を溶かしているわけであるが、氷河が乗っている南極大陸の海底の先端部分が内陸部に向かって下向きに傾斜しているため、氷が融けると隙間にさらに海水が流れ込むことになり、氷河は加速度的に後退するようになっているというわけである。 (下の図を参照)

それゆえ科学者たちはこのスウィーテス氷河を「終わりが近い氷河」と呼んでいるのだ。下の図をご覧になってご理解して頂きたい。調査隊に同行したBBCの記者が氷河の溶解のスピードが想像より早くなっていることを、声を大きくして語っていた様子を見ると、世界の海面上昇は考えられていたよりは、早まることは間違いなさそうである。

先般コリーグッド氏が伝えてくれた情報、太陽のソーラーフラッシュを前にした高エネルギーの放射による海水温の上昇と合わせて考えると、海上に浮かぶ島だけでなく、世界中の多くの都市が海中に沈む事態は想像以上に早く到来することになりそうである。

 
 

 
 


南極大陸の上に乗ったスウィーテス氷河 。左側が内陸部。
 

 
 

 
 


氷山の先端部が乗った海底(大陸)部が内陸部に向かって下向きに傾斜しているため、
氷が融けると氷河の奥のすき間にさらに海水が流れ込み、融解を加速させている。

 
 

 

 
 

 

 

 




 

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