北朝鮮情勢の真相
 

 


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金正恩が核とミサイル開発を急ぐ本当の理由

 

 
 


金正恩委員長にとって、核とミサイル開発は最大の急務なのだ。

 
 

北朝鮮によるミサイル実験が続く中、トランプ大統領は「中国には大変失望した。口先だけでなにもしない」とツイッターに記載。 これに対して中国政府は、「今回の問題は中国が原因で生じたものではない」と反発。 一方、韓国では米国が配備した迎撃ミサイル「THAAD」が本格的な稼働体制に入っており、南北間の緊張は一段と高まって来ている。

こうした一向に進まぬ北朝鮮問題を理解するには、北朝鮮の「核開発」と「ミサイル開発」の隠れた背景を知る必要がある。 今回はその点について記すことにしたので、しっかりっ読んでおいてほしい。我々日本人にとっても、決してよそ事では済まされないからであるからだ。

多くの読者は、最近の北朝鮮における「核とミサイル開発」に対する異常なまでの取り組み姿勢を見て、何故これほどまでに急ぐ必要があるのか、不思議に思っておられるのではなかろうか。  また、経済的に裕福でない国なのに、核やミサイル開発に関わる膨大な予算がどこから捻出されているのか、そもそも、その技術はどこから取得したのだろうかと、疑問視しておられる方が多いのではないだろうか。

その点について説明しよう。 先ず、いま金正恩(キム・ジョンウン)率いる北朝鮮が何故、核とミサイル開発をこれほどまでに急いでいるのかという点について知って 頂くには、15年ほど歴史をさかのぼって頂く必要がある。 2001年、アメリカの「闇の勢力」が仕組んだ9・11同時テロによって、米軍はアフガニスタンに侵攻し、さらに2003年には「大量破壊兵器を保有している」という絵空事を理由に 、イラク戦争へと進んだことはご承知のはずだ。

その結果、2006年にサダム・フセイン大統領が処刑され、さらにその後、2011年にはリビアのカダフィー大佐が殺害された。 中東が曲がりなりにも平穏を保っていたのは、この二人の人物が盤石な政権を握っていたからである。 その二人のトップが政権から去った後、 イラクやリビアだけでなく多くの中東諸国の政治情勢が混乱状態へと陥ることになった。

こうして状況を真剣に受け止めていた一国が北朝鮮。  現在の金正恩の父親であった金正日総書記はイラクとリビアが米軍によって簡単に侵略されたのは、「両国は核兵器とミサイルを保持していなかったからだ」と考えたのだ。   その結果、金正日は政権と我が身の安全を考え、独自の核開発とミサイル開発を国家の最重要課題として力を注ぐことになったのだ。

 
 

 
 


28日深夜に行われた大陸弾道ミサイルの発射。 金正恩の願いは間もなく達成されそうである。

 
 

北朝鮮問題を複雑にしている中国の派閥争い


その後、金正日の後継者となった金正恩・朝鮮労働党委員長は、若輩であった上に信頼できる取り巻きが少なかったこともあって、 米国からの侵略に対する警戒心は父親以上に強く、核とミサイル開発に対して一段と力を注ぐことになったというわけである。 

こうした金正日や金正恩が核とミサイルを急ピッチで開発する後ろ盾となって資金面の支援をして来たのは、他ならぬ中国であり、元の国家主席であった江沢民氏であったのだ。 今から15年前、1992年に国家主席に就任した江沢民は、北朝鮮を兄弟国として位置付け、経済的に苦境にあった北朝鮮を支援するだけでなく、核の技術 や核兵器の原料、通常兵器などを供給して来たのだ。

その背景には、北朝鮮を自分たちの傀儡国家(かいらいこっか)にする目的が秘められていたことは、言うまでもないことであった。 もともと朝鮮半島には、1000年以上にわたって中国の属国だった歴史があり、江沢民はその時代を再び取り戻そうと 考えていたのだ。 

一方、中国も一枚岩ではなく、「太子党」と「上海閥」と呼ばれている二大勢力があり、長い間、覇権争いが続いて来ている。  その「太子党」 のトップが習近平国家主席で 、「上海閥」のトップが江沢民である。 軍の権力が強い中国では、7つの軍区(現在は5軍区)をいかに自分のコントロール下に置くかが重要だ。 その軍区の中で最も強 い軍事力を持っているのが、北朝鮮と接し金政権をコントロールできる立場にある瀋陽軍区(現在の北部戦区)である。 実はそこを今もなおコントロールしているが 、江沢民とその一派なのである

彼らは北部戦区(瀋陽軍区)の強大な軍事力を背景に、北朝鮮に食糧や日用品、武器弾薬、燃料などを送り込み、 金正恩委員長体制を支えると同時に、多額の利益を得ているのである。 そのため、習近平政権は北朝鮮に対して強い影響力を持っている江沢民氏が、首を縦に振らない限り、金正恩氏を 思うように説得できないでいるのだ。   トランプ大統領の要望に中国政府が応じられない裏にはこうした事情があったのだ。

 
 

 
 


今もなお続く江沢民派と習近平派の対立。

 
 

そうした状況の中で起きたのが、今年2月にマレーシアで発生した金正日前総書記の長男・金正男氏の暗殺事件であった。 その経緯についてご存じない 読者もおられるかもしれないので、簡単に触れておくことにしよう。 実は習近平政権はなかなか言うことを聞かない金正恩委員長に腹を立て、密かに彼を抹消して正男氏にすげ替える計画を立てていたのだ。 

その暗殺計画が託されたのが、当時北朝鮮のナンバー2だった張成沢(チャンソンテク)氏だった。 しかしその計画はある組織を通じて金正恩委員長の知るところとなり、張成沢氏は 直ちに処刑されることとなってしまったのだ。   それは今から4年ほど前のことであったが、その後、金正恩政権と江沢民派は、 同じことが繰り返されないよう、金正男氏を無き者にすることになったというわけである。  

こうした流れを見て来ると、金正恩委員長が米国からだけでなく、中国の習近平政権からも身を守るため、必死の思いで核とミサイルの開発を急 いでいる意味がよく分かるはずだ。 どうやら、大陸間横断ミサイル(ICBM)と、それに搭載する核爆弾が完成するまで 、米国と北朝鮮の話し合いは開かれることはなさそうである。

問題はこうした状況がいつまで続くかという点である。  現在の米国が絡んで三つ巴となって来ている北朝鮮問題は、肝心な当事国の韓国政府は蚊帳の外に置かれている感じで、 裏に潜む「米中の軍産複合体」が動き始めているようなので、アジアの極東地区が戦場と化す可能性は決して小さくないようだ。 読者には、そうした点をしっかり認識しておいて頂きたいものである。

 
 

 
 


金正恩委員長に絶対服従の側近たち

 

 




 

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