南極を解かす温暖化

 

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氷床の融解は海面を9メートル上昇させる

 


 
 


一面氷床に覆われた南極大陸 氷の厚さは平均で1850m(「クローズアップ現代」より)

 


45度を超すオーストラリアの熱波や−50度を下回るロシアの寒波、米国のハリケーン、ヨーロッパや東南アジアの異常低温、日本のゲリラ豪雨 ・・・・・ 世界は今至るところで記録的な異常気象に見舞われている。一方、北極海では海氷がかってないほど減少、また厚い氷で覆われたグリーンランドでも島の全域で氷 の溶解が観測されている。

これらの現象はみな温暖化の影響によるものと考えられているが、その影響が最も心配されているのが南極、そこには世界の90%の氷が集中しているからである。これまでは1年中氷点下の南極 大陸では 、たとえ温暖化がこれから先進んでも、氷が大きく溶けて減少することはないと考えられてきた。

しかし、日本の南極調査隊をはじめとする米国、オーストラリア等の研究者達の調査によって、最近そうした考えを覆す発見が次々と明らかと なってきている。単に氷解が進むというだけでなく、南極大陸を覆っている実に60%の氷床が溶ける可能性があり、その結果、世界の海面上昇は9メートルにも達する可能性があるというのだ。

先日、1月29日にNHKの「クローズアップ現代」でその様子が放送されたので、ご覧になられた読者も多いことかと思われるが、大事な情報なので見逃された方のために、その内容を要約してお伝えすることにする。

実は私が2003年、今から10年ほど前に南極大陸を訪れた時、乗船したロシアの耐氷船の船長から、最近、南米に近いパーマー半島付近の棚氷の氷解が大規模に発生してきている 、という 話を聞かされた。その時から私は学者の主張と違って、南極といえども温暖化の進み具合によっては、棚氷だけでなく大陸を覆っている氷床が解けることもあるのではないか 、と考え るようになった。それがはからずも「クローズアップ現代」で確かめられるところとなったというわけである。

 

 
 


山脈の岩肌が露出したセール・ロンダーネ山地一帯で調査する日本の南極研究班

 


それでは、調査隊が明らかにした南極の氷床が解ける要因というのは何か? 

先ず読者に理解しておいて欲しいのは、南極大陸を覆っている氷の厚さがどのくらいあるかという点である。これまでに私が尋ねた人の答えは、ほとんどが数十メートルから数百メートルであった。これはとんでもない間違いで、実際は大陸全体の平均的な厚さは1850メートル もあり、東側エリアの最も分厚いところでは4770メートルに達している。

なんと富士山より1000メートルも厚い氷に覆われている場所があるのだ。南極大陸の面積がオーストラリア大陸ほどある事を考えると、その上を覆っている 平均2000メートル近い氷の体積がいかに巨大であるかが分かろうというものである。

ところが最近の調査によって、この大量の氷床の中の45%ほどの氷が、海水面より低い場所に存在していることが分かったのである。つまり南極大陸は全て海上に突出しているわけではなく、海面下に沈んでいる部分が半分近くあるというわけである。それは、テレビでは触れていなかったが、膨大な氷の重みで大陸全体が沈んでいるからである。下図の青い部分が海面下に沈んでいる部分である。

 

 
 


空色の部分が氷床が海水面より低く沈んでいるエリア

 


この海面下に沈んだ部分に積もった氷床は、これまで学者が考えていた以上に不安定で、たとえ氷点下の中であっても海面上昇や海水温度の上昇によって 、解けたり、崩壊して巨大な氷山となって海上を漂うことになるというのだ。

フロリダ大学のアンドレア・ダクトン教授は南半球の島々に残された珊瑚(さんご)の化石から、地球上の過去の海水面の高さを調べた結果、かって9メートルの高さまで海面が上昇していたこと を突き止めている。2〜3メートルまでなら北極海やグリーンランドの氷の氷解によって説明がつくが、残りの6〜7メートルの上昇は南極の氷床の融解しか考えられないと語っている。

ダクトン教授はおよそ12万年前の温暖化の時期に、南極の氷が大量に解けて海水面を上昇させたのではないかと推測している。ということは、今後の温暖化の推移によっては再び同じような事態が発生する可能性があり得るというわけである。

教授は南極の氷を巨人にたとえて、「この眠れる巨人が、いつどのように目を覚ますのか注意深く見守っていかないと、大変なことになる」と警告している。9メートルの海面上昇ということになれば、東京やニューヨークなど世界の海岸沿いの都市はそのほとんどが海面下に没することになるわけだから、容易なことでない 。特に心配なのは、テレビでは触れていなかったが、日本の海岸を取り巻く原発のほとんどが、海面下に沈んで制御不能となってしまうことである。

問題はその時期である。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告書によると、2100年には4.8度の気温上昇 と81センチの海面上昇が予測されるとしているが、全ての自然現象は直線ではなく放物線を描き、カタスロフィー 〈巨大災害)を発生させていることを考えると、人類はそう遠くない内に、想像以上の海面上昇という大異変を目にすることに なるのかもしれない。自然の脅威を甘く見ないことだ。

 

 

 
 


氷床の60%が溶けた時には、海面が9メートル上昇するため、
海岸沿いの都市のほとんどが海底に沈んでしまう。その時、日本の原発は全て海面下となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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