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下落はどこまで進むのか?

 
 

 
 


サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は原油安を容認する
考えを明確にしている。 彼の発言を聞けば、原油安の引き金を
引いたのがどこで、下落がどこまで進むかが分かろうというものである。

 
 

大暴落後しばらく上下を繰り返していた原油価格が再び下落に向かい、45ドルを割り込んできた。 1年前の110ドルからは60ドル近い下落で、下落率は60%に達している。2009年以来の下落率となるが、一体これから先、どこまで下落幅は進むことになるのだろうか? また、なにゆえこれほどまでの下落が発生することになったのだろうか? 

家計を預かる主婦にとっては、石油や灯油の値下がりは大歓迎で、浮いたお金で家族旅行にでも出ようかなどと、浮いた気持 ちになっておられる方も多いようだが、原油暴落の裏事情を調べてみるとそんな甘いことを言ってはおれないことが分かる。

先ずは、原油下落の要因を探ってみることにしよう。 その前に読者に知っておいて欲しいのは、世界の原油生産国の実情である。 産油国と言えば、だれもがサウジアラビアをはじめとする中東諸国やヴェネズエラなど中南米諸国をイメージするはずだ。しかし、世界第2位の産油国がロシアであることや 、米国の生産量が今やサウジアラビアを追い抜こうとしていることをご存じだろうか。

下の図@と図Aを見比べてもらえれば、サウジアラビアと米国の年間産油量は2013年の段階で共に1000万バーレルを越し、その差がわずか100万バーレル ほどに近づいていることがお分かりになるだろう。 米国の産油量がこんなに急増している要因はなにか? それはシェールオイルの急増である。

ここ数年、米国がシェール革命に湧いて いることは読者もご承知のことと思うが、テキサス州をはじめ、オクラホマ州、ルイジアナ州、ノースダコタ州など米国国内のシェールオイルの産油地から汲み上げられるオイルの量は、今年の1月時点では既に500万バーレルに達しているので、米国の生産量は今やサウジアラビアを追い抜くところにまで来ているのである。

ということは、このままシェールオイルの生産が増加し続けることになると、世界全体の石油生産国の構成図は様変わりすることになる。それは、サウジアラビアなど中東諸国にとっては、とうてい見過ごすことの出来ない事態である。そこでサウジアラビアの主導のもとにOPEC(アラブ石油輸出国機構)が手を打ったのが、 今回の原油価格の下げである。

 
 

 
 


図 @

 
 

 
 


図 A 
米国の1月時点のシェールオイルの生産量(500万バーレル)
を加えると、米国はサウジアラビアを既に抜いていることになる

 
 

サウジアラビアの戦略

 
 

 
 


図 B

この図を見れば、昨年11月のOPEC総会での減産見送りが
原油先物価格の暴落に拍車をかけたことは明白である。
(NHK・ローズアップ現代より転載)

 
 

先ずは、2014年1月からの原油の先物価格の動きを示した上のグラフをご覧頂きたい。7月辺りから大きく下がり始めているのが分かる。 注目すべき点は下落傾向が続き産油国にとっては大きな打撃となっているのにも関わらず、11月に行われたOPEC(アラブ石油輸出国機構)の総会で 、原油の減産が見送られることとなったことである。下落を止めるには減産が一番であるのにも関わらずである。

サウジアラビアを始めとする産油国に、原油下落に歯止めを掛けようとする意思がないことが明らかとなったことを受けて、原油市場は一気に下落幅を広げ、 50ドル割れまで下落することとなった。ではなぜ、中東諸国は価格の下落に歯止めを掛けようとしなかったのか? それは米国のシェールオイルの生産にストップをかけるためである。 つまり、勢いを増している米国のシェールオイル産業をつぶすためである

原油は地下数百メートルの比較的浅い地層から汲み上げられている。しかし、シェールオイルは2000〜3000メートルの泥岩層の中にしみ込んだ原油を汲み上げるため、生産コストがかかる。シェールオイルとは真岩(けつがん=シェール)と呼ばれる泥岩層から採取される非在来型の原油のことで、そのコストは原油の1バーレル当た りのコスト10〜25ドルに比べて遙かに高く30〜50ドル、生産量の少ない中小企業ではそれ以上とも言われている。サウジアラビアはそこに目をつけたのである。

     
 

 
 

シェールオイルを汲み取るには地下深く掘らねばならないため、高いコストがかかる

 
 

原油とシェールオイルの生産コストの違いを見れば、おのずと今起きている原油安の行き着く先が見えてくる。生産量の少ない中小企業は、原油価格が45ドルを切った現在では既にコスト割れしていることは明らかだ。現に、テキサス州 やオクラホマ州などでは、倒産した会社や汲み上げ量を大幅に減らしている企業が続出している。

これから先、中東の産油国が大手の会社も生産中止に追い込もうと考えているなら、原油安はさらに進み、30ドル割れまで進むことに なる可能性は大きい。現に、サウジアラビアの石油相は地元の新聞「ファイナンシャル・タイム」紙で、「原油価格がこれから先20ドルにまで下がっても、私たちは減産することはしない」 と明言している。

問題は長い間世界第2位の原油産出国を誇り、原油高で潤ってきたロシアへの影響である。その問題は通貨ルーブルの下落やロシア国債の格下げ、ウクライナ紛争の激化など難しい問題が絡んでいるので、次回、改めて記すことにする。




 

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