イスラム国指導者の実像
 

 


ホーム
上へ
謹賀新年
増え続ける中東の死者
氷河期に向かう地球 @
2015年、混乱に向かう世界情勢
シリア難民の窮状
氷河期に向かう地球 A
災害に対する備えはいかに?
仏・同時人質事件の行くえ
異常事態が続く米国
仏・50ヶ国首脳行進の真相
ウクライナ再び戦闘状態に
中東紛争の火の粉が飛び始めた日本
まだ終わらぬ米国のもう一つの戦争
中国に潜むイスラム系テロの危機
活発化する噴火活動
ギリシャ選挙・野党が大勝利
深刻化する中東情勢の行く末
史上最強の猛吹雪、米国を直撃
原油安・隠された裏事情 @
原油安・隠された裏事情 A
エボラ出血熱に朗報
講演会開催のご案内
案じられるイスラム教嫌悪の広がり
ギリシャを巡るドタバタ劇
激しさ増す自然の猛威
懸念されるサウジとエジプトの動向
横行する中国の人身売買
米国・次々と襲う寒波と暴風雪
イスラム国指導者の実像
暗さを増し続ける世界情勢
米国を襲う異常寒波と事故
世界中が困惑する中国人ツアー
ギリシャ支援策・暫定合意
凍てつく米国
どこまで強欲・中国
カルマがもたらす終わりなき戦い
ネタニヤフ首相・米議会で演説
環太平洋火山帯が再び活動を活発化
中国で大ヒット・大気汚染ドキュメンタリー
宗派間対立を産むティクリット攻略
追い詰められるロシア
ドイツのメルケル首相来日
続く米国の異常気象
南太平洋を巨大ハリケーン襲う
ドイツ、金50%を国内保管へ
イスラエル選挙がもたらすもの
貧しき少年に乳を飲ませる野良犬
命の危機に直面している人々へ
マネーのばらまきと低金利
一段と混迷を深める中東情勢

イラク戦争が産んだ狂人・バグダディ

 
 

 
 


イスラム国のバクダディ指導者

 
 

残虐な手法による統治で今世界に恐怖を撒き散らしているのがイスラム国( 通称 ISIS ) 。その指導者、アル・バクダディは一体どのよう な経歴の持ち主であろうか。彼の実像と指導者に至る経緯を知る人は少ないと思われるので、その概略を記すことにした。

実は、今日のバグダディを生み出したのは他ならぬイラク戦争であり、その後の米軍の統治によってもたらされたスンニ派とシー派による内乱の発生であった。イラク戦争をさらにさかのぼれば湾岸戦争に行き着くわけだが、この二つの戦争を起こしたのは他ならぬブッシュ親子である。つまり「イスラム国」とその指導者「バグダディ」は、ブッシュ親子によってこの世に登場することとなったというわけである。

1990年代中頃、イラクの首都・バグダッドの大学に通っていたバグダディは、熱心にイスラム教を学ぶ非常に物静かで礼儀正しい学生であった。修士号や博士号を取得していることから、頭脳明晰な人物であったことも確かなようである。そうしたバグダディの運命を変えるきっかけとなったのが、2003年に起きたイラク戦争であったのだ。

イラク戦争の敗戦でフセイン政権が崩壊し、その後に米軍が駐留することになったイラクには、米軍やそれと一体となったシーア派政府に反発する スンニ派系のイスラム過激派が台頭。 彼らは外国から流入したアルカイダ系組織と手を組んで自爆テロを起こすようになった。

バクダディは2004年過激派組織の友人と一緒にいたとこを米軍に拘束され、収容所へ収監された。この収容所はアルカイダ思想に染まった人々の集合 の場となっていたため、バグダディも 囚人達の影響を受けてジハード( 聖戦 )に目覚めるところとなった。

 
 

 
 


バグダディ指導者は10年前、イラクの米軍の収容所に収監された。
その時から彼の人生は一変する。それは世界が恐怖に陥る先駆けでもあった

 
 

1年して出所した後、彼が身を寄せたのが当時世界に名をとどろかしていたザルカウィの率いるアルカイダ系過激派組織。 その後彼は、頭の良いところを買われ財政責任者となり 、次第に頭角を現していく。ザルカウィ指導者が死んだ後、弱体化していく組織を立て直したのが、他ならぬ2010年にトップとなったザルカウィ であった。

その後、シリアに進入しシリア政府軍、反政府軍(シリア自由軍)と三つどもえの戦いを進める中で、次第に勢力を拡大し シリア北部の都市ラッカを拠点にイスラム国( ISIS )の樹立を宣言。その後、出身国イラクへと進出しクルド軍やイラク政府軍を相手に主要都市を次々と陥落し、首都バグダッドに迫っていることは読者もご承知の通りである。

バグダディ自身は戦闘の経験が全くないため、戦闘員を指揮し命令を下しているのは、旧フセイン政権下のイラク軍の将校たちである。 兵士たちを「羊」になぞらえるなら、彼ら羊を指揮する将校は「犬」、そして「羊」と「犬」 の両者を操る「飼いの主」がアル・バグダディというわけだ。

 
 

 
 


「イスラム国」の統治制度

バグダディ指導者の下には旧フセイン政権下の
軍人やアルカイダ系の7人の専門職がいる。

 
 

大量破壊兵器一掃という絵空事の大義名分で米国が行った、イラク戦争という悪事は罪のない多くの人々を死に追いやり、平穏な生活を送っていた一般市民を恐怖と悲しみの世界へと追いやった。 この悪事は今、新たな悪事を引き起こし、シリアやイラクと言ったアラブ諸国だけでなく 、ヨーロッパ諸国をはじめ世界中の人々を恐怖に陥れようとしている。

イスラム国の陣地に2300回を越す空爆を行っているものの、確たる成果が見られない中、米国は今、イスラム国の扇動に乗った若者たちによって、 自国内でいつテロが起きるか分からなくなっている。 こうしたテロの発生を押さえようと、オバマ大統領は、特殊部隊による限定的作戦という名目の下、どうやら地上軍による武力行使を考え始めたようだ。

連合軍が去ったアフガンやパキスタンでは再びアルカイダ勢力が勢いを増してきており、状況によっては米国は両国へも再び派兵せざるを得なくなってくるかもしれない。自分で蒔いた種は自ら刈り取る、これが自然の摂理である。 今、米国には、自らが蒔いたカルマを刈り取るために、さらなる出兵と自国内テロという二つの脅威が待ち受けているようだ。

どんなに言葉を尽くそうが、戦争は殺し合い以外の何物でもない。ましてや理不尽と不条理に満ちた戦争ともなれば、その戦場は阿修羅の場となることは必定。だからこそ、今米国では、 そうした戦場から戻った復員兵たちに、1日に22人の自殺者が出ているのだ。 それにしても。自国と自国民に、これだけの大変な重荷を背負わせたブッシュ一族が背負ったカルマはいかばかりか。考えただけで身の毛がよだつ思いである。

 
 

 

 


大量破壊兵器一掃という絵空事の大義名分で始まったイラク戦争。 
米国には今、自らがが蒔いたカルマの刈り取りが迫っているようだ。

 


 

追記

イスラム国とバグダディの誕生の経緯については、NHKの番組を参考にさせて頂いたが、後日、両者の実体をさらに調べた結果、「イスラム国とバグダディの実体」に記したようにNHKが伝えた内容とは大きく異なっていることが判明した。その点を踏まえて読んで頂きたい。




 

戻る 上へ 進む