懸念されるサウジとエジプトの動向
 

 


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弾圧強めるシシ政権

 
 

 
 


モルシェ前大統領の政治母体であるムスリム同胞団に対する弾圧が始まった

 
 

テレビの海外放送は連日、ウクライナ東部の戦闘激化とイスラム国への空爆のニュースを放送し続けている。ウクライナ政府軍と親ロシア軍の攻撃で家が焼かれ、身内を失った人々が泣き泣き土地を離れていく悲惨なニュースは心をかきむしる。今世界は地獄へと向かっているようだ。

そうした状況下、目や耳がウクライナやイラクに向けられ、ややもすれば見過ごされかねない動きがあるのでお伝えしておく。それは、サウジアラビアとエジプトの国内情勢の動きである。両国ともアラブ諸国を牽引する力を持った主要国であるので、読者は頭に入れておいて欲しい。

サウジアラビアは先月のアブドラ国王の死去後、前国王の弟であるサルマン新国王が誕生したが、新国王がこれまでの政策を継承するのかどうかが注目点である。石油価格の下落を容認し、米国のシェールオイルの増産に歯止めをかけ続けるのか? イスラム国 やアルカイダへの対応、また、シーア派のイランやシリアに対する対応に変化はないのか? ・・・・・・ などである。 また、王子の間の権力闘争の発生も関心事の一つである。

一方、エジプトにおける懸念は、シシ大統領率いる軍事政権の「イスラム同胞団」に対する弾圧の行方である。この問題は度を超すと再びエジプトを混乱状態におとしいれる可能性が大きいだけに見逃せない問題である。

チュニジアに端を発し中東諸国に広がった民主化運動「アラブの春」で、長い間政権を握っていたムバラク政権が崩壊して誕生したのが、ムスリム同胞団を母体とする政権であった。その政権を事実上のクーデターで倒したのが現在のシシ大統領の率いる軍事政権である。

心配なのは、「深刻化する中東情勢の行く末」でも記したように、 出身母体である軍の力を背景にしたシシ政権の強権的な政策である。特に不安視されているのがムスリム同胞団に対する厳しい弾圧だ。政権のコントロール下にあると思われるエジプト裁判所は、軍に抗議する集会や警察署襲撃事件に参加し 、治安部隊と衝突したムスリム同胞団関係者に対して、次々と終身刑や死刑といった厳しい判決を出してきている。

 
 

 
 


エジプト裁判所のムスリム同胞団に対する厳しい判決は
新たな反発を産み、暴動やテロへと発展することになりそうだ

 
 

今月2日の裁判では183人に死刑判決、4日の判決では230人に終身刑が言い渡された。実は今回の判決が初めてではなく、既にムスリム同胞団やその支持者など700人以上に、死刑や終身刑など厳しい判決を下しており、今回の一連の判決で1000人を越す人々に死刑や終身刑が言い渡されたことになる。

一方、裁判所は公金横領の有罪判決が言い渡されていたムバラク元大統領やその息子達に対して、有罪判決を取り消し、裁判のやり直しを命じている。どうやら程なくしてムバラク一家は出所することになりそうである。

こうした政治力を使った極端な差別 や弾圧と放免は、ムスリム同胞団だけでなく一般市民の中にも抵抗を産み、新たな反発が発生することが案じられる。エジプトにも「イスラム国」や「アルカイダ」に忠誠を誓っている若者はたくさんいる 。弾圧はこうした人々の不満に対して油に火を注ぐことになるだけに、こうした動きが続くようなら、弾圧とテロとの負の連鎖は避けられないかもしれない。

エジプトはアラブ諸国の中で、政治的、社会的、文化的、さらには精神的な面でも中心地であり、歴史的な発祥地でもあるだけに、もしも、再び混乱状態に陥るようなことになると、シリアやイラク以上に、中東全域を混乱に巻き込むことになりそうである。

サウジアラビアとエジプトの今後の動きについては、重大な関心を持っておいて頂きたい。

 
 

 
 


カイロの街で「アラブの春」が再現されることになるかもしれない。

 
 

追記

小淵沢講演会の会場等についてアルソア本社への問い合わせは、アルソア社にご迷惑をかけることになりますので、絶対になさらないで下さい。




 

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