国籍なきロヒンギャ族

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タイ沖の海岸からなんとかインドネシアまでたどり着いた船舶
狭い船には400人を超す難民が乗り飢えと脱水に苦しんでいた

 
 

毎回暗く悲しいニュースばかりお伝えしてきているが、今回は少しばかり明るいニュースをお伝えできるようである。 前回 、ミャンマーから逃れた450人のロヒンギャ族が乗る船がタイに上陸できず、食料や水の補給もままならぬまま、マレーシアやインドネシアに向かわされたことを伝えた が、実はその難民船が数日前にインドネシアの漁師たちに発見され、避難民は無事収容施設に保護されたようである。

「東南アジアの難民問題」で 、飢えと脱水状態で苦しむ子供たちやその母親たちの姿を写した写真を添付しておいたが、そこに写っていた少年(フード君)もなんとか生き抜き、無事収容されたようで、一安心した次第である。下に掲載した 少年が元気を取り戻したフード君である。

ミャンマーのロヒンギャ族の難民問題が、まるで降って湧いたように世界のマスコミをにぎわすことになったのには、次のようなわけがあったのだ。 もともとロヒンギャ族の人々はミャンマー政府から国籍を認められず、 学校にも行けずまともに職に就くことすら出来ない状況に置かれていた。

3年前の2012年にイスラム教を信じるロヒンギャ族と仏教徒との間で衝突が起き、多数の死者が出た後、船で出国する人々が続出した。 そんな彼らを餌にしたのが密航業者。 業者はタイの人身売買組織に、またマレーシアの低賃金労働者を求める組織に売り飛ばしていたのである。 それが、最近 、タイ南部のジャングルの中でロヒンギャの人々が集団埋葬されていた事実が発覚し、人身売買組織が摘発されたことがきっかけで、難民船がタイやマレーシア に入港出来なくなったというわけである。

 
 

 
 


飢えと脱水状態で苦しんでいたフード君はなんとかインドネシアの
収容所にたどり着き元気を取り戻すことが出来たようだ。 (イギリスBBC )

 
 

そんな事情も知らぬ人々は次々と迫害を逃れようと海外に脱出、その結果、現在もなお、海上には 飢えに苦しむ4000人の難民を乗せた何隻もの船が漂流しているのである。 一昨日、国連の要請を受けて、タイとマレーシアとインドネシアの3国の外相会議が開かれ、一時的な受け入れについて合意がなされたようであるが、それには1年以内に国際社会が後を引き受けるという条件が付いており、一時しのぎの救助策でしかない。

ミャンマーと言えば、野党党首のアウンサン・スーチーさんを思い出す。あれだけの人がなんでこれだけの人権問題に登場しないのか不思議だが、ミャンマーは年末の選挙を控えて政府も野党も仏教徒の票固めのため身動きでない状況にあるようだ。

事情はどうあれ、海の上で今この時間も次々と命が失われていることを考えると、なんともやりきれない気持ちで胸が一杯である。それにしても、イスラム教もキリスト教も また仏教もみな、今日の宗教は争いの種を蒔くために存在し、教祖が説いた他人を思いやる利他心など、どこか遠くに吹き飛んでしまったようである。 人の道を踏み外し 、人間としての尊厳を守れない宗教など宗教ではない。 天界でマホメットもキリストも仏陀もさぞかし嘆き悲しんでおられることだろう。

 
 

 
 


ミャンマーには今も国籍も持てず、学校に行くことも出来ないロヒンギャ族の子供たちが暮らしている

 
 

ミャンマーにおけるような宗教間対立もなければ、中東におけるような宗派間対立も、また、米国における人種間対立も、さらには、中国における貧富の格差対立もない日本。そんな国に住んでいると、世界の国々で次々と発生している国民同士の対立が引き起こす悲惨で残虐な出来事を、他の星の出来事のように思ってしまう。

我々は恵まれた環境を当たり前と思い、感謝の気持ちを忘れて日々の生活を送ってはいないだろうか。 自分さえ良ければ、今さえ良ければ、そんな自己中心な刹那主義的な気持ちが心を動かしてはいないだろうか? いわれなき迫害を逃れて、さらなる苦しみと悲しみの待つ地に旅立たざるを得ないロヒンギャの人々の姿を見ると、身が引き締まる思いである。




 

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