箱根山の実体


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大涌谷は巨大カルデラの一部

 
 

 
 


箱根山の全体像 (クリックで拡大) (NHK「クローズアップ現代」の図に文字を追加)

 
 

箱根の噴火に関して多くの方が錯覚しているのは、箱根山に対するイメージである。箱根山というのは一つの山を表す呼び名ではなく、中央火口丘と新旧二つの外輪山で囲まれたカルデラ全体を表す火山体の総称である。

箱根山形成の歴史をさかのぼると、2700メートルの高さの富士山型の成層火山が形成された約25万年前。その後、何度もの噴火を経て、18万年前に中心部が陥落して大きなカルデラが誕生。 さらに悠久の歳月を経た後、3000年前に発生した大規模な「マグマ噴火」によって山頂部分が吹き飛び、標高1000〜1400メートル級の山々が出来た。 その中の最高峰が大涌谷に隣接している「神山」の1438メートルである。

また800年前の鎌倉時代には、マグマの熱や高温の火山性ガスで熱せられた地下水が噴き出す「水蒸気噴火」が起き、新たな山々を形成している。今問題になっている大涌谷もその 時に「中央火口丘」に出来た小さな火山体の一つである。

上の図を見てもらえれば分かるように、強羅や箱根湯本、芦ノ湖、仙石原などの有名な観光地や別荘地は皆、箱根山と呼ぶ巨大なカルデラの外輪山の中に位置しているのである。その点をよく理解していないと、 ややもすると、現在上がっている噴煙を大涌谷だけの現象と考えて、その実体を伝える報道を、風評被害を起こすと言って非難することになるのである。

 
 

 
 


大涌谷の5月19日の状況

 
 

2000年前、ボンベイ火山が噴火したときも、 だいぶ前から火山性地震が多発していたのにも関わらず、町に影響を及ぼすことはないだろうと住民の多くが避難しなかったのが大量死を発生させた要因となっている。

確かに観光客の減少は観光地にとって死活問題である。 しかし、今大涌谷やその周辺で発生している山体膨張や、林の中に発生している噴煙の正確な実体を公表 せずに、観光客を呼び込もうとすることは許されることではない。それでは我が身、我が町のために原発再開を叫ぶ人々と同じことになってしまう。 噴出現場近くに出向いて温泉の管理をしている温泉供給会社の人達のことを考えると胸が痛む。

むしろ、箱根町も温泉業者も安全を確保するための確かな情報を明らかにしてもらい、来る来ないは来訪者の意思に任せる、これが最善の道ではないかと思われるがいかがだろうか。 それにはハワイにあるキラウエア火山が参考になるだろう。ハワイ当局は溶岩が流れ出ていても一部を除いて立ち入り制限をしていない。 入り口の看板に「あなた自身の責任で」と 記してあるだけだ。情報はオープンにするから自分で判断しろという姿勢だ。

情報隠しに協力しているという点では学者も罪も大きい。箱根周辺や西之島に至る伊豆諸島の地震情報はかなり隠されているようだ。また詳しいことは後日記すことにするが、我々が必要な正しい情報を100%知らされていないことは間違いない。

なんと言っても驚かされたのは、26日付けの朝日新聞に掲載された箱根の地震に関する記事であった。そこには、静岡大学の小山真人教授たちが過去のデーターをもとに計算した箱根の噴火の確率が4%で、噴火せずに沈静化する確率が96%だと言う内容が記されていた。

別の研究者から知らされている情報とは逆さまの数値であるから、びっくりして当たり前だ。なぜ確率4%などという数値が出たのか驚いて記事を読み返すと、彼らは、過去の火山活動の履歴をもとにはじき出した数値を発表していたのである。 つまり、現在起きているような噴気の異常や地殻変動を伴う群発地震は20年に一度の割合で起きておると想定し、その間に実際に噴火したケースがなかったことから、4%という数値をはじき出しているようである。

 
 

 
 


ガラパゴスのウォルフ火山が33年ぶりに大規模な噴火を始めた。 (Twitterより)

 
 

過去のデータをもとにした確率なら、中学生でも計算できる。統計的な数値では当てにならないから多額の研究費を投入して研究しておられるのではないのか。 彼らの頭の中には、最近、チリやパプアニューギニア、ネパールなどで次々と発生しているマグニチュード7を超す巨大地震や大規模噴火の増加傾向など、頭に入っていないのではないか。今朝のニュースでは、環太平洋火山帯に属するエクアドルの沖合にあるガラパゴス諸島で 、ウォルフ火山(標高1700メートル)が33年ぶりに大規模噴火、噴煙は1万メートルの高さに達している。

こうした地球的規模の動きを考慮しない推定値など当てにならないと考えておくべきだ。仮に今回の変動が沈静したとしても、これから2〜3年先を考えたら、噴火の確率は相当高いと考えておいた方がよさそう である。地震学者も同じように考えている 人が多いようだ。

因みに、統計論的観点から富士山の噴火の発生率をウィキペディアで調べてみると、記録に残されている奈良時代の781年から 江戸時代の1707年の「宝永の噴火」まで、926年間の発生回数は10回となっている。

つまり発生率は約90年に1度と言うことになる。そしてその間に起きた、延暦の噴火(800年)、貞観の噴火(864年)、宝永の噴火(1707年) の3つの噴火は、大規模噴火となって、周辺一帯に大きな被害を与えている。 となると、宝永の噴火から308年間、富士山は噴火なしで来たわけだから、確率論だけで言うなら現在起きる確率は100%、いつ起きてもおかしくないということになりはしないだろうか。

23日には奄美大島で震度5弱の地震が起き、 西之島の10キロ先では海底火山が発生している。また、25日には、茨城で震度5弱の地震、浅間山では先月下旬から山頂火口の浅い場所を震源とする規模の小さな火山性地震が増加している。

大涌谷の蒸気噴出が大事に至らず沈静化してくれれば良いが、「箱根山で噴火!」のニュースが流れる可能性は 、私が得ている情報では、静岡大学の火山学者たちが主張する4%などという低い確率ではなさそうである。 最新情報はまた改めて記すことにする。


 

 

 




 

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