鮮明になった「親イスラエル」

 
 

 
 


突如、国連人権理事会からの離脱を発表する国連大使

 
 

かねてから米国が衰退に向かっている姿を指摘してきたが、トランプと言う稀に見る大統領の登場で、その衰退の姿が一段と鮮明になって来たようだ。 その一つが、昨日発表された国連の人権理事会からの離脱である。

この理事会は2006年に設立されたもので、47カ国の理事国で構成されており、人権侵害の報告が行われた場合、独立した専門家の派遣や委員会の設置を行うことが出来る機関である。 米国は2009年、オバマ大統領の時代に理事国となって今日まで至っていた。

今回、突然理事会からの脱退を表明した理由として挙げられているのは、人権侵害が常習化している中国などの国が理事国となっていることや、一定の国に非難が集中するなど政治的な偏りがあるという点であった。

問題はその非難が集中しているという一定の国と言うのがイスラエルであることである。 HPで何度も指摘してきたように、イスラエルによるパレスチナへの侵略や攻撃は頻発して来ており、多くの死者や負傷者が続出している。 それに対して人権理事会はイスラエルに対して数多くの非難決議を採択してきた。 

この点が親イスラエル寄りを一段と鮮明にするトランプ大統領をして、理事会からの離脱へと決断させたわけである。  エルサレムへの首都移転をはじめ今回の措置に踏み切ったのは、11月に迫った中間選挙を有利に戦うために、ユダヤ系組織やイスラエルを擁護するキリスト教福音派の票を獲得するためであることは明明白白である。

ネタニヤフ首相は満面笑みを浮かべて感謝の言葉を述べていたが、トランプ政権の偏った親イスラエル政策は、世界の秩序と平和に決して良い結果を生むことにはならない。 世界最終戦争ハルマゲドンに向かう速度を上げるだけである。 今回の離脱がもたらす弊害は、理事会のこれから先のかじ取りが難しくなって来ることと、中国の発言が増すことである。

どうやら、国際社会から孤立し、覇権国家から転落する米国の情けない姿が一段と鮮明になって来たようだ。

 

恥をさらしたトランプ大統領

 
 

 
 


世界からの非難を呼ぶところとなった、両親から切り離され泣き叫ぶ幼い少女の写真。
 

 
     

実は今回の人権理事会からの離脱を早めるのきっかけとなったのは、上に掲げた両親と切り離されようとしている幼い女の子の悲しい写真であった。

メキシコとの国境を越えて入国する不法入国者に対する拘束を始めたのは、2ヶ月半ほど前。 この拘束において、驚くことに収容する家族の親子を別々の施設に分ける措置が取られていたのである。 

引き離されて「ママ、パパ」と泣き叫ぶ幼い子供たちの声や、檻のような中に入れられ布団の代わりに銀紙のようなものをかぶって寝ている子供たちの姿が、1週間ほど前から報道されるようになり、世界中から一斉に強い非難の声が上がるところとなったのだ。

こうした行為が国連の人権理事会で取り上げられるのを避けるために、急遽、理事会からの離脱と、親子の引き離しを止める大統領令に署名するところとなったというわけである。 何の罪もない幼い子供を裁判の行われている何カ月もの間、親から切り離し、檻のような中に住ませておくというのだから呆れる。 このような非人道的な行為は、法治国家のやることではない。

なにゆえそのような愚かな措置をとったのか? トランプが不法入国に対する毅然とした姿勢を示そうとしたからである。 それも皆、次なる選挙で多くの得票を得ようとする損得勘定から出た発想である。 愚かとしか言いようがないではないか。 

自国第一主義を掲げ、パリ協定やイラン核合意など多国間協定から次々と離脱し、世界を混乱へと導いている大統領に対して、多くの国民が未だに支持を続けているようであるが、それこそが衰退する大国の末路を示していると言わざるを得ない。 情けない末路は見たくないものである。

 
 

 
 


両親と切り離された子供たちが住む不法移民の収容所。 

 

 
 

 
 


広い部屋に集団で寝かされる子供たち。 
厚い銀紙が寒さを防ぐ布団代わりとなっている。

 

 
 

 
 


親と離れ、金網の中で暮らす子供たち。 これでは牢獄の中と一緒ではないか。