イランからの原油禁輸を各国に要求

 
 

 
 


次々と打ち出す米国第一主義政策は世界を混乱と紛争に導いている。
 

 
 

5月にトランプ大統領が行ったイラン核合意からの離脱に対しては、合意に加盟したドイツやロシアなど他の6カ国から強い批判が寄せられているが、ここに来てイランに対する更なる追加措置が発表されるところとなり、世界に不安が広がっている。

6月26日にトランプ米政権が発表した新たな追加措置と言うのは、世界各国にイラン産原油の輸入を完全に停止させることを求めるものであった。 原油に頼るイランを締め付ける強固措置で、イランを原油市場から排除して追いこみ、トランプ大統領の考え通りの新たな核合意を実現させようというわけである。

こうした「歴史上最強の制裁」となる今回の米国の制裁措置に対して、早々に中国は米国の要請を拒否する声明を発表しているが、トランプ大統領の圧力によって受け入れざるを得なくなる国々も出てくることは避けられそうもないだけに、石油輸出を最大の収入源としているイランにとって、大きな打撃を与えることは間違いなさそうである。

こうした動きを受けて早くも原油価格が上昇しており、世界経済に悪しき影響を及ぼそうとしている。 そうした動きと同時に私が懸念する点は、核合意締結で景気を上昇させて来ていたイランのロウハニ政権の揺らぎである。 イランではすでに先の米国による核合意離脱以降、市民による反米の気運が盛り上がっており、そうした動きに乗って反米を基調とする保守強固派が力を増して来ている。

 
 

 
 


イランとトルコ、ロシアの同盟関係は強固になってきているだけに
今回のトランプ大統領の政策は世界を危機に導くことになりそうだ。

 
 

その結果、イランで反米、反イスラエルを主張する勢力への政権交代が起きた時には、一気に核開発の再開が始まる可能性は大である。 そうなると、イスラエルのネタニヤフ政権はそれを阻止せんと、主要な核開発施設に対して空爆を仕掛けてくることは間違いない。

そうなると、アラブ諸国におけるサウジアラビアを筆頭とするスンニ派とイランを中心とするシーア派との対立が激化するだけでなく、イランを支援するロシアやトルコや中国、シリアなどの結束が一段と強くなり、反米国、反イスラエルの気運がさらに増すことになりそうである。

それは、ハルマゲドンへの流れを早めることになるだけに、世界にとって一大事である。 11月の議会選挙を有利に戦うために次々と打ち出しているトランプ大統領の政策は、イラン問題だけでなく、輸入関税の発動による世界的な貿易戦争をも、もたらそうとしている。 

北朝鮮の完全な非核化は望み薄であるだけに、トランプ大統領は念願のノーベル平和賞どころか、「世界に混乱と紛争をもたらした男」として、その名を世界史に残すことになるかもしれない。