アメリカのハリケーン、中国の洪水
            
            メキシコ湾の原油流出に関しては、密封性の高い蓋(ふた)の設置で一応流出は停められているようであるが、先のHP「原油流出止まる」で懸念したように、蓋に設置された圧力計が想定した数値より低い数値を示したことから、他からの漏れの可能性が指摘されている。
            
            その後、対策本部のアレン本部長自身も、海底の油田から離れた場所から新たな「漏れ」が見つかったことを認めている。しかし、それからすでに5日ほど経過しているのに、今もなお、様子見の状況が続いており、漏れについての詳細が明らかにされないままである。
            
            そんな折り、新たに発生したハリケーンがメキシコ湾に向かっているため、流出原油の回収や現場の作業に関わっている関係者が一斉に引き上げ始めている。この際、設置した蓋をはずすか、それともそのままにしておくか議論が分かれたようであるが、どうやら蓋はそのままにしておくことに決まったようである。
            ハリケーンの襲来で心配される点が次の3点である。
            
             @ ハリケーンが想定されている規模より大きくなった場合、蓋をしたままの状態が結果的に、凶と出る
               ことが懸念されている。その場合には油井そのものの崩壊につながるため、致命的な結果を招くこ
               とになりそうである。
            
             A ハリケーンにより、流出した原油が広い地域に拡散され回収がさらに困難になり、また、高波
                の発生で、防御策を乗り越え沿岸の奥深くに原油が流れ込むことが懸念されている。
            
             B 原油の人間への健康被害が相当深刻であることは、すでに動物実験で「皮膚癌」の発生が確認
                されていることから明らかである。 その海上と海中を漂う毒性を持った原油がハリケーンによって、
                水蒸気化して吸い上げられ、雨となって陸上に降り注がれることになりそうである。すでにこれまで
    に降った雨の中からも原油が確認されていることから、原油雨が降り注ぐ可能性は小さくなさそう
                である。
            
            週末から来週にかけ、こうした点が明らかとなってくるはずだ。メキシコ湾のニュースには、注意を払っておく必要がありそうである。
             
            拡大する中国の洪水被害
             
            
              
              
                
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                  四川省達州市の洪水被害の様子(AFP通信)  | 
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            一方中国では、先のHPでも記したように、長い間、暴雨が続いており、中国最大の川・長江の流域を中心とする南部で洪水が頻発している。そんな中、今度は北部の黄河流域でも大洪水が起こる可能性が大きくなってきている。
            
            こうした洪水に追い打ちをかけるように、台風3号「チャンスー」(Chanthu)が南部の広東省に向かい、南部の水害は一段とひどい状況になってきているようである。詳細はまだ伝えられていないが、週明けにはかなりの被害状況が報道されることになるのではと、心配である。
            
            中国新聞社の報道によると、今年の洪水被害は34の行政地区のうち27の行政地区で発生しており、各地で河川の氾濫、土石流、地すべりおよび都市部での冠水が頻発し、広範囲で影響を受けているようである。34の行政地区のうち27の行政地区というのは、なんと広大な中国の80%に被害が広がっているということになる。どうやら被災地は、信じ難いほど広大なエリアに達しているようである。
            
            「国家洪水・干ばつ防止総指揮部」の劉寧秘書長の21日の記者会見によると、20日時点の各地の洪水による被災人口は1.13億人に達し、64.5万棟の家屋が崩壊、7千ヘクタールの農地が水没。701人が死亡、行方不明者は347人、直接的な経済損失は1422億元(約1.9兆円)に達しているという。
            
            被災者数が1億1300万人ということは、日本人全体が洪水の被害者ということになる。今中国が遭遇している被害の大きさは、我々が考えている程度の規模ではなさそうである。
            
            今一つの心配は、長江に架けられた山峡ダムの崩壊である。1993年に着工され、16年の歳月をかけて2009年に完成したばかりの山峡ダムは、1820万kWの発電が可能な世界最大の水力発電ダムである
            が、今中国で、密かに心配されているのが、この山峡ダムの崩壊である。
            というのは、ダムの異常増水だけでなく、以前から、このダムの工事に手抜きがあったことが指摘されているからである。
            
            毎日流れ込んでいる水量が膨大なため、2日ほど前から放水を始めたが、ダムの水位を下げることは出来ないでいるようである。危険水位までわずか10メートルほどだというから、今回の台風によって一気に危険水位を超すことにならないか心配である。
            三峡ダムより下流域には重慶、武漢、上海と主要都市が密集
            しているため、万一、ダムが決壊するような事態になれば、沿岸都市の被害は莫大で、未曾有の大惨事となることは間違いない。 
            一歩間違えれば中国国家の存亡にも関わってきそうである。それだけ三峡ダムは巨大であるのだ。
             
             
            
              
              
                
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                             Wuhanは武漢市、Nanjingは南京市、Shnghalは上海市 | 
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                  長江沿いの武漢市
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