イスラエルの核

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原子力発電と核弾頭


アラブを代表するテレビ、カタールのアルジャジーラが24日、トップニュースでイスラエルのテレビ局が放映した原子力発電所関係の番組を紹介した。それは、イスラエルの 「チャンネル2」という民間テレビ局の映像で、このテレビ局は国営テレビとは一線を画しており、時々スクープを放っている局である。

イスラエルには首都テリアラブからアンドット市に向かう途中に、長い間、秘密裏にされ、容易に人が近づけない「ワーデス3原子力センター」と呼ばれる原子力発電所 がある。番組では、この発電所の原子炉の内部の様子が写し出されていた。

問題は、イスラエル政府は長い間この発電所について、あくまで民生用であると主張し続けてきているが、取材したチャンネル2は軍事目的であることを確信している、と述べている点である。

イスラエルはもともと資源に乏しい上に、周囲の原油生産国とは敵対関係にあったこともあり、石油に頼ることは国政の根幹を揺るがすことになるという 考えに立っている。そのために、1948年の建国当時からすでに核開発を進めるべく、米ソ英仏への接近を試みてきたことは承知の事実である。

その結果、早くからフランスの支援によって原子炉の開発が始まり、1957年には南部のネゲブ砂漠のディモナ(Dimona.)に原子力発電施設が造られている。しかし、こうした原子力施設への取材は厳しく制限されているため、そこから生まれる放射性物質が核兵器などの軍事用兵器に転用されているかどうかといった問題点は、一切明らかにされないまま今日に至っている。

 

 

 
 


ディモナ原子力発電所
ここはイスラエルの最重要軍事施設で、核兵器開発のために
プルトニウムが生成されているのではないかといわれている。

 


実際のところは、今回の取材に成功したチャンネル2テレビ局が語っているように、それが決して民生用のものなどでないことは、世界の研究者にはすでに広く知られており、現に、2006年11月に は、ディモナ原発の研究員であったバヌヌ氏が、原発の放射の漏れ事故の発生と核兵器開発を暴露し、18年の禁固刑と海外渡航禁止の判決を受けるという事件が起きている。これを伝えたのもチャンネル2テレビであった。

発電所が軍事目的にも利用されていることは、イスラエル国家がいつまでもIDEA(国際原子力機関)に加盟せず、未だに査察を徹底的に拒み続けている ことを考えればすぐに分かることである。本当に民生用なら査察を拒否し続ける理由などないからである。

今でこそ、イスラエルが事実上の核保有国であるというだけでなく、所有している核弾頭の数がすでに250発近い数に達しているはずだというのが、世界の常識となりつつあるが、それでも、米ソや中国などどこの国も正式にイスラエルが核兵器所有国であると公にしていないのだ。なんともおかしな話である。
 

ダブルスタンダード
 

今、アメリカや他の核保有国が問題視し、大騒ぎしているイランの原発問題を考えると、その矛盾点がいっそう際だってくることになる。なぜなら、イスラエルの核施設や核開発についてはなんら問題にすることのないまま、一方で、イランについては開発状況が不透明であると厳しく咎め、金融制裁などの厳しい処置を取っているからである。

だからこそ、欧米諸国やそのメディアに対して、今アラブ諸国が「あなた達のやっていることは、まさに、ダブルスタンダード(二つの基準)に立った主張ではないか」と、不満をぶち挙げているのである。

なかでもアメリカは、イランだけでなく北朝鮮に対してもIAEA(国際原子力機関)の徹底した査察を受け入れない限り、民生用とは認められないと主張していながら、イスラエルの査察拒否は承認しているのであるから、まさにダブルスタンダードの典型的なご都合主義国家と言われても、文句を言えないことは明らかだ。

これでは、アメリカはユダヤ人によって支配されている国家だと言われても仕方があるまい。ただ私がここで言う「ユダヤ人」というのは、アブラハム、ヤコブの血を引く本当のユダヤ人、「スファラジー・ユダヤ人」を指しているのではない。ユダヤ教を隠れ蓑にした「にせユダヤ人」、つまり、「アシュケナージ系のユダヤ人」である。

アメリカはイスラエル国家の建設以来、これまでに何十兆円という莫大な資金援助をしてきていることは承知の事実である。それなのに、一番神経を使っている核開発問題については、何も言えないようではアラブ 諸国がアメリカ国家に心を許すはずがないではないか。

ダブルスタンダードの国家が仲介するパレスチナとイスラエルの和平交渉が進捗することなど、夢のまた夢である。

 

 

 
 


10月27日:イスラエル警察とアラブ系住民の衝突

 

 

 

 

 

 

 

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