地球規模の異変

 

 
 


2002年9月、北極点を目指す旅の第7日目に遭遇したホッキョクグマの親子

 


日本列島の2倍もあるグリーンランド島の氷床が、わずか4日間で消滅してしまったことは、7月30日掲載の「4日間でグリーンランドの氷床消滅の怪」に記した通りである。それから1ヶ月たたない内に、今度は北極海の海氷融解のニュースが飛び込んできた。

北極の海氷面積が410万平方キロとなり、過去最小にまで縮小したことが分かったという情報である。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測衛星「しずく」が観測したデーターによると、今年8月24日現在、氷の面積は約421万平方キロメートルと、これまでの観測史上最小となったようである。

JAXAによる観測は78年から継続的に行われており、2007年に観測された425万平方キロメートルが これまでの最小記録であった。米国国立雪氷データセンター(NSIDC)が27日発表した観測結果もほぼ同じデーターを示して おり、その数値は410万平方キロとさらに小さい数値となっている。

北極海の氷は通常、9月の半ばから後半まで縮小が続くようなので、向こう数週間でさらに海氷の減少が進むものとみられ、 その面積は400万平方キロメートルを割り込むことになりそうである。この海氷の減少は海面上昇や気候の変動を誘発するといった面だけでなく、北極海に棲む動物たちにも 大きな影響を及ぼすことになるのだ。その被害者の一種がホッキョクグマである。

今から10年前の2002年、私が北極点を目指した旅では、3回にわたってホッキョクグマに遭遇。これは当時でも珍しいことであったが、今はさらに難しくなっており、滅多にその姿を見ることが出来なくなってきているようである。それだけホッキョクグマの数が 急速に少なくなって来ているわけであるが、その要因は海氷の面積が減少しているからに他ならない。

北極海の海氷減少や南極大陸の棚氷が氷解するニュースを見るたびに、北極で見た親の後を一生懸命追いかけるホッキョクグマの子 どもや南極の餌をあさるジェンツーペンギンのヒナの姿が目に浮かんできて、悲しくなってくる。

南米アマゾンに棲むたくさんの野鳥や動物たちが絶滅に向かい、南極のペンギン、北極のシロクマたちが 急激にその数を減らしていることを考えると、人類が 犯し続けてきた地球に対する破壊行為が、その上に棲むいかに多くの動植物たちの命を絶ってきたかが思い知らされ、胸が痛む。そしてそれは、もはや取り返しがつかないとこまで来てしまっているのではないかという不安がつのってくる。

北極の旅と南極の旅は、「北緯90度北極点に立つ」「南極探索の旅」からご覧下さい。

 

 

 
 


親のクチバシを突き、餌をねだるジェンツウペンギンの子供
2001年3月の南極への旅・第3日目、
クバービル(Cuverville)島で撮影