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イスラエル:パレスチナの和平遠のく

 
 

 
 


ネタニヤフ首相が満面に浮かべた笑みを見れば、今回の会談が
イスラエルにとって良きものであったことは一目瞭然である。

 
 

15日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相とトランプ大統領との会談が行われた。 世界が注目したこの会談はいかなる内容であったのだろうか。 主な重要問題は下記の4点。

@ イスラエル;パレスチナ間の和平協議に関する問題。
A イスラエルの入植活動に関する問題。
B 在イスラエルの米国大使館のエルサレムへの移転に関する問題。
C イランとの核合意破棄に関する問題。

結論から先に申し上げると、どの問題もみなイスラエルとパレスチナの平和共存に道を開くものではなく、むしろそれとは反対で、中東情勢の悪化に拍車をかけるものであった。 対談の後に行われた両首脳の記者会見における発言から、4つの問題点に対する進捗状況を見てみよう。
 

イスラエルとパレスチナ間の和平協議に関する問題

 
 

 
 


「2国家共存」は和平協議を進める上での大前提。 しかし、
今回、トランプ大統領からそれが否定する発言が飛び出した。

 
 

1993年のパレスチナ暫定自治合意以降、これまで和平協議を進める上での前提条件となってきたのが、「2国家共存」であった。 これに関してトランプ大統領は米国としては「2国家共存」にこだわらないと衝撃的な発言が飛び出した。 これはまさに和平協議の大原則を無視するイスラエル寄りの発言で、中東諸国のみならず世界に衝撃を与えるところとなった。

この2国家共存を拒むような発言に対して、早速、パレスチナの指導者から「このような発言を行うようなら、米国の国際社会における信用は失われるだろう」と強い反発と失望感を持った発言が行われた。 また、国連の事務総長からも和平協議の大前提が否定されるようなら、これから先、和平協議開催は不可能となってしまうと、今回の発言を強く憂慮する発表が行われた。

トランプ大統領の発言を満面笑みをたたえて聞いていたネタニヤフ首相からは、和平協議再開の前提条件として、さらに協議再開を難しくする次の2点の発表が行われた。 一つは、パレスチナ側が「ユダヤ人国家イスラエルを承認すること」。 

現在、パレスチナ自治政府はイスラエル国家を承認していない。 その理由は戦争による不法な占拠によるものである点と、イスラエルに在住するイスラエル国籍の20%がパレスチナ人であり、承認することによって、彼らが2級市民として差別される恐れがあるからである。

ネタニヤフ首相の驚くべき二つ目の発言は「ヨルダン川西岸全域の治安権限をイスラエル政府が持つこと」である。 これはイスラエルの右派が主張している考えそのものであるが、このような条件を受け入れては、たとえパレスチナ国家が樹立されたとしても、国家の主権と尊厳が失われることになるだけに、パレスチナが受け入れられるものではないことは明らかである。
 

イスラエルの入植活動に関する問題

 
 

 
 


占領地に入植しこれだけの住宅が建設されてしまった。
壁越しにこの姿を見るパレスチナ人の心境はいかばかりか。

 
 

次のイスラエルによる入植活動に関しては、これから先入植活動が進めば、パレスチナが将来の領土と考えているヨルダン川西岸地区全域がつまみ食いされてしまい、国家領土の形態が保てなくなってしまう。 だからこそ、これまでオバマ大統領が強く反対して来たわけで、国連においても「トランプ政権間もなくスタート B」に記したように強い非難決議が採択されているのだ。

ところが、ずるがしこいネタニヤフはトランプ氏の親イスラエル寄りの態度を見て、大統領当選後早々に植民地化を広げ、「動き出したトランプ政権の波紋」に記したように3000棟を越す入植を認め、既に入植済みの土地を政府の所有地とする条例を国会で承認している。

最近のこうした入植活動の急加速化について、トランプ大統領はネタニヤフ首相に「少しペースを落として欲しい」と要望したものの、両首脳の会談では、入植活動の完全停止についての言及は一切為されなかったようである。 どうやら今回の対談を受けてこれから先、入植活動は益々活発化することになりそうである。

実は、ネタニヤフ首相が入植活動をトランプ大統領登場と同時に急速に始めた裏には、我が国では知らされていないある事実があった。 それは、ネタニヤフ首相がトランプ氏の大統領就任前の12月に密かに渡米して、二者会談を行っていたことである。 そしてその際に、トランプ氏から入植活動に関して好意的な発言を得ていたようなのだ。 

だからこそ、あれだけい思い切った入植政策を次々と打ち出せたのだ。 それにしても、日本のマスコミはまったく報道していないのだから、情けない限りである。


在イスラエルの米国大使館のエルサレムへの移転に関する問題





イスラム教の大聖堂が建つエルサレム旧市街地。 ここに米国大使館が移転されようとしているのだ。
 

 

 
 

大統領選挙中の最も衝撃的な発言の一つが、在イスラエルの米国大使館のエルサレムへの移転発言であった。  現在、歴史的な都市・エルサレムは西エルサレムと東エルサレムに分かれており、東エルサレムはイスラエルが武力を行使して占領し、一方的にイスラエルに併合し首都としている都市である。

しかし、そこはパレスチナが将来の独立国家の首都と位置づけている都市である。 その最重要な場所に米国が大使館を移すことになれば、国際社会が認めていないイスラエルによる東エルサレムの不法占領とエルサレムの首都化を許すことになり、パレスチナやアラブ諸国の猛反発は必至である。

この移転の問題に対して、トランプ大統領は今回の記者会見で、「移転したいと気持ちに変わりはないが、注意深く行っていきたい」と、時期などにはこだわらず慎重に進めていく姿勢を見せている。 しかし、少々トーンダウンはしたものの、移転そのものを撤回する発言は為されず、今後に大きな懸念を残すところとなった。
 

イランとの核合意破棄に関する問題

 
 

 
 


イランとの核合意が締結されたウイーン会議。
それが米国によって破棄されようとしているのだ。

 
 

イランとの核に関する合意の破棄に付いては、イランを再び孤立化に追いこみ、それは即、イスラエルとの対立を深めることになるだけに、世界が注視している重要な問題である。 これに関し両首脳は次のように発言している。

トランプ大統領 : 「我々は先般新たな制裁を科したが、イランが核を持たないよう更なる
          取り組みを行う」
ネタニヤフ首相 : 「イランの脅威を食い止めるために、トランプ大統領と緊密に連携して
          いく」

どうやら、ミサイル開発やテロ支援の問題でこれから先も制裁を強化し、イランの封じ込めを図っていくことで合意したようである。 つまり、これから先、米国もイスラエルもイランと対決していく姿勢には何ら変わりはないというわけである。 場合によっては、過去において行われたように、イスラエルによるイランの核施設への空爆もあり得るのだ。

こうして見てみると、今回のトランプ大統領とネタニヤフ首相との会談によって、和平の実現はおろか、和平交渉の再開の見通しすら立たない状況に陥り、中東情勢を一段と不安化する方向に押し進めるところとなったようである。 

どうやらこれから先も、イスラエルによる入植活動の進み具合や在イスラエル大使館の移転の時期、イランに対する制裁の強化など、ハルマゲドン(世界最終戦争)に向かって、いかなる展開となるのか目の離せない状況が続きそうである。

 




 

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