世界は「新冷戦時代」に突入
 

 


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スウエーデン徴兵制復活

 
 

 
 


ロシアからの脅威にさらされたスウエーデンでは18才の若者の徴兵制が復活
 

 


雪深き中戦闘訓練を続けるスウエーデン陸軍兵士たち

 

北欧3ヶ国の内の一つスウエーデンでは、2010年にいったん廃止されていた徴兵制を来年1月から復活することになった。 今回は18才の若者4000人に9ヶ月から12ヶ月の兵役を義務づけ るもので、初めて女性もその対象となった。

徴兵制復活の背景にあるのは、隣国ロシアに対する脅威である。 スウエーデンとロシアとはかなりの距離が離れていると思われる方も多いかもしれないが、添付した下の写真を見てもらえれば分かるように、スエーデン南端はバルト海を挟んで ロシア領土の対岸にある。

そのバルト海では、ロシアが3年前にウクライナ南部にあるクリミアを併合してから、緊張が高まっており、ストックホルム沖合では正体不明の潜水艦が出没したり、ロシアの軍用機が船舶の上空を飛行したりするなどの異変が毎週のように起きている。

NATO(北大西洋条約機構)とロシアとの関係もまたここに来て一段と厳しさを増してきており、米軍がポーランドやブルガリア、ルーマニア、バルト3国などに 4000人規模の部隊を投入する事態となったことは、先般「米国部隊3500人ポーランドへ」でお伝えした通りである。

そんな中、圧倒的な軍事力を持つロシア軍が昨年9月にウクライナ東部で軍事演習を行ったことに対して、 ヨーロッパ各国は強い危機感を持つようになり、昨年ワルシャワで行われたNATOの首脳会議で、ロシアの軍事的圧力に対抗するため、NATO軍の東ヨーロッパにおける軍事演習や訓練を拡大することが決められた。

そして今回、万一に備えて軍事力を強化するために、スエーデンは徴兵制を復活したわけであるが、バルト海の東側に位置しスウエーデンより更にロシアに近い位置にあるバルト3国(エストニア、ラトビア、フィンランド) にとっての不安はスウエーデン以上。 それゆえ、NATO軍の常駐や軍事演習を希望しているわけで、これから先、緊張感はさらに高まることになりそうである。

 
 

 
 


上の図の小さい赤色のエリアもロシア領土であることを知れば、
スウエーデンもポーランドもロシアの隣接国であることが分かるだろう。

(  クリックで拡大 )

 
 

軍拡競争に乗り出したトランプ大統領

 
 

 
 


軍拡競争に乗り出したトランプ政権によって、米国海軍の保有する空母は12隻となる。

 
 

先日、トランプ大統領は新年度の国防費予算を10%増額することを発表。 米国の国防費は昨年度で約60兆円に達しているため。増額分は6兆円となる。 我が国の国防費は17年度予算案額で5兆1000億円なので、それを上回る額が増額されることになるわけで、なんとも凄まじい額である。

増額分の中には先にトランプ大統領が発言した新たな空母の建設費も含まれているようで、これで、米海軍が保有する空母は今年末に完成する新型空母「ジェラルド・R・フォード」を合わせると12隻となる。  現在空母を保有している国は10ヶ国。 その中で、イタリアの2隻を除けば皆1隻。そうした中で緊縮財政を強いられている米国が更に増やそうというのだから驚きである。  マスコミが伝える「トランプ政権軍拡競争に!」の見出しは、あながち間違いとは言えないようだ。

こうした動きがロシアや中国政府を刺激することは明らかである。 中国がロシアから譲り受けた空母を改良し、昨年、中国海軍の初の空母として就航したことは既にお知らせした通りであるが、その後、中国政府は自国製の空母2隻の建造に取りかかっている。 これも皆、強大な米国の軍事力に対峙するためのものである。

因みに、中国の国防費は1989年以降、2010年を除き2桁増を続けて来ており、経済の減速のため昨年と今年は7%台に留まっているが、主要国の中では依然、突出した伸び率を維持し続けている。 今年はとうとうその額 が史上初めて1兆元(16兆5000億円)を超えることとなった。

ただ、各国の軍事専門家は中国の国防費は兵器の開発費や装備品の輸入などの重要項目が除かれているため、実際には発表される数値の2倍近い額に達しているのではないかと見ている。  つまり30兆円近くに達しているというわけだ。

国民の多くが貧困に喘ぎ、親子が共に暮らすことすら出来ない出稼ぎ農民などの悲惨な問題が発生しているというのに、30兆円を越す巨大な予算を軍事費につぎ込んでいると言うのだから驚きだ。 北朝鮮のキムジョンウン閣下 が中国の巨大な軍事費を見て、日々よだれを垂れ流しておられる姿が目に浮かぶようだ。
 


強権政治化するロシア・プーチン大統領

 
 

 
 


首都モスクワで行われた2年前に殺害された野党指導者の追悼デモ

 
 

前回「トルコとドイツ更なる関係悪化」で、トルコのエルドアン大統領の強権政治について欧米各国から強い非難の声が上がっていることを記したが、エルドアン大統領が目指しているのはロシアのプーチン 大統領の強権政治である。 そのプーチン大統領の強権体制に対する他国からの非難はあまり聞こえてこないが、自国内では次第に強まって来ているようである。

先日、オーストラリアABCがプーチン大統領の弾圧に反対する大規模な抗議デモの様子を伝えていた。 プーチン大統領の強権的な政治を批判していた野党の指導者が、首都モスクワのクレムリン近くで殺害されのは2年前。 今回のデモはその犠牲者を弔う追悼デモであった。 

その後もプーチン政権による弾圧は続いており、北朝鮮と同様、批判者に対する毒殺や銃撃事件は起き続けている。 しかしながら、2014年から公然と政府を批判することが法律で禁じられてしまったため、デモや集会は出来なくなってしまっており、今回のような大規模な抗議デモは特例であったようである。 そのため、今ロシアでは弾圧から逃れるために工夫されたなんとも奇妙な抗議デモが行われている。

読者はそれがどんなデモかお分かりだろうか? それは、スローガンも叫ばなければ、抗議の声を上げることもなく、プラカードも掲げないデモで、その様子は一見したところ、まるで街の中を観光客の一団が、回りをキョロキョロ見回しながら歩いているように見える奇妙なデモである。 下の写真を見てもらえればその様子がお分かりになられることだろう。

ここまでプーチン大統領の強権政治が進んで来ていると言うことは、彼の考え一つで、他国への侵略は容易に出来ると言うことを意味している。 それが分かっているからこそ、ポーランドやスエーデンなどロシアに隣接するヨーロッパ各国に強い不安感が広まっているのである。 

いまや北朝鮮のミサイル発射だけでなく、どうやら世界は「新冷戦時代」向かって、様々な形で戦争の気運が高まりつつあるようだ。

 
 

 
 


プーチン政権に対する批判デモは観光客の集団が街を歩くように静かに行われている。
いかにプーチン大統領が強い権限を持っているかが伺われるワンシーンだ。

 




 

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