トルコ通貨の大暴落、親米から親露への転換

 



 


トルコは親米国から親ロシア・イランへと移ることになりそうだ。

 

この10日間、世界情勢に関する記事は全く記さずに来たが、その間の気になる出来事があったので記しておくことにする。それは、米国とトルコ間のさらなる関係悪化であった。 かねてからお伝えしてきたように、NATO(北大西洋条約機構)に属しながら米国とトルコ、両国間では亀裂が生じ始めて来ていた。

亀裂を発生させていたのは以下のような要因であった。

@ トルコのクルド系政党と繋がるシリアのクルド人部隊を米軍が支援していること。
A トルコ政府が軍用機などをロシアに発注しようとしていること。
B 2016年にトルコで発生したクーデター未遂事件を起こした反政府勢力を支援
  したとして、トルコ政府が米国人・ブランソン牧師を自宅軟禁状態にしていること。

そうした状況下でトランプ大統領が、今月10日に、ブランソン牧師の釈放に応じないトルコに対して、アルミニュームと鉄鋼の関税率を2倍に引き上げる制裁措置を発表。  これに対してトルコ政府は「敵対的な態度」と非難し、報復する意向を表明。 こうした動きを受けて、トルコの通貨リラが前日比で30%急落、その後も下落は続いて一時下落率は40%に達する事態となった。 まさに大暴落だ。

日本円で言うなら、1ドル110円だったものが、190円近くに下落したことになるのだから大変だ。 もともとトルコの財政状況には問題があり、通貨安が進んでいただけにトルコにとっては大変な痛手となった。 そうした動きを受けて、10日の株式市場が世界的に大幅下落し、我が国でも430円と大幅に下落したことは、ご承知の通りである。

幸いにも、市場の混乱は一時的なもので終わったが、問題はトルコと米国間の関係悪化がもたらす、政治的、経済的な悪影響である。 トルコのエルドアン大統領 は米国に対する強気の姿勢を崩しておらず、これからも米国の要求に屈することはなさそうである。 

そうなると相手がトランプ大統領であることから、更なる制裁措置を取る可能性が強いだけに、両国の関係悪化が一段と深まる 可能性は大きそうである。 それは即、トルコとロシア、イランとの関係強化につながるだけに、さもなくても冷戦状態と化している米国とロシア関係をさらに悪化させることになりそうである。

また、経済的な面でもEU諸国はトルコと深い関係にあり、特にフランスやスペイン、イタリアはトルコ向けの多額の融資を抱えておるため、大幅なリラ安によるトルコ経済の混乱は、大きな痛手となることは明らかである。 特にイタリアやスペイン の財政状況は悪化しており、第二のギリシャとなろうとしているだけに、一歩間違ったらEU全体に大きな混乱を巻き起こすことになるかもしれない。

トルコにおける絶対的な権力を握ったエルドアン大統領と自国第一主義を掲げるトランプ大統領。 両者が譲り合う可能性は小さいだけに、どうやら これから先、「両国間の関係悪化」と「通貨リラの下落に伴うトルコ経済の混乱」からは、目が離せない状況が続きそうである。