ロシア、イラン、トルコの首脳会談合意に至らず

 
 

 
 


イドリブ県への総攻撃を防ぐために開かれたロシア、イラン、トルコの首脳会議

 

 
 

 
 


間もなくアサド政府軍とロシア軍によるイドリブ県への総攻撃が始まろうとしている

 
 

政治や社会情勢、さらには自然災害など厳しい状況が続く中、せめて週末は心安らぐ記事を掲載したいところだが、残念ながら今回はシリア内戦に関する暗いニュースをお伝えするところとなってしまった。 

シリアでアサド政権と反体制派との争いが始まってから早7年。 米国やトルコなどの支援を受けて闘って来た反政府軍も次第に追い詰められ、残された拠点は最早ただ一つ、トルコと国境を接する北西部のイドリブ県のみとなった。

そして今、このイドリブ県に対する政府軍の総攻撃が始まろうとしているのだ。 実はすでに政府軍だけでなくロシア軍からの小規模な攻撃は始まっており、いつ本格的な総攻撃が始まってもおかしくないという段階に来ているのである。

イドリブ県には300万の市民が住んでおり、被害を恐れた人々が避難を始めているものの、その多くは避難できずに恐怖におののきながら、日々の生活を過ごしている。 今、国際社会が恐れているのは総攻撃が実施された場合の多数の死者の発生である。 攻撃する側は戦闘員を狙っての爆撃、空爆だというが、戦闘員は一般住民の中に隠れているのだから、市民が戦闘に巻き込まれることから逃れることは不可能だ。

そうした状況の中、戦闘停止を巡って7日、イランの首都テヘランでロシアのプーチン大統領、イランのロウハニ大統領、トルコのエルドアン大統領による首脳会談が行われた。 米国のトランプ政権がシリアから一歩退いてしまった今、シリア内戦に直接関与できるのは、事実上、ロシアとイラン、トルコの3カ国である。 それゆえに、この会談には世界の注目が集っていたというわけである。

 
 

 
 


イドリブ県への総攻撃の中止を求めた国連の安全保障理事会

 
 

しかし、この首脳会議はイドリブ県への総攻撃中止の合意には至らなかったようである。 シリア政府を支援するロシアとイランは、反政府軍の戦闘員をイドリブ県から追い出すことは必要だと強調、これに対して反政府軍を支援するトルコは、大規模な戦闘は破滅的な結果を招くとして反対。 トルコは自国への難民の流入をおそれているのだ。

一方、7日には米国の提案で国連の安全保障理事会が開かれ、イドリブ県への総攻撃は非人道的な結果を招くことになるとして、アサド政府軍による戦闘の中止を勧告するための論議が為された。 しかし、ここでも「罪のない300万人の市民を戦闘に巻き込むべきではない」とする米国と、「アサド政権にはテロ組織と戦う権利がある」というロシアとの対立が鮮明となり、結局、安保理としての一致した姿勢を打ち出すことが出来なかったようだ。

こうした状況を考えると、どうやら我々はそう遠からずのうちに、300万人の市民たちが遭遇する悲惨な状況を目にすることになりそうである。 戦闘にはロシア空軍が支援することになるだけに、空からの攻撃も行われることは必至で、それに巻き込まれる市民の数は大変な数になりそうである。 こうした記事を書いている私の頭の中には、アレッポの町で起きたような、口や鼻から血を吹き出しながら母親を探す子供たちの悲惨な姿が目に浮かんでくる。

そもそもこの内戦勃発の要因は国民の74%を占めるイスラム教スンニ派とアサド大統領が属する16%のアラウィー派との衝突である。 今や宗教は世界のあらゆる争いごとの主要な要因となっており、モハメットやイエスや仏陀が説いた教えとは真反対の方向に向かっている。 そして、本来ならそれを収束する立場にいる大国が、自国の利益を最優先しているだけに、争いは止むことなく益々その頻度と規模を増し、悲惨な結果を招くところとなってきている。

どうやら多くの国々や国民、民族が背負いきれない程の大きなカルマを背負って、次なる世界に向かうことになりそうである。 もはやそうした事態を回避できない状況と化して来ていることを考えると、地球の再生(アセンション)がよりよい形で一時も早く実現することを願わずにはいられない心境である。

 
 

 
 


イドリブ県の市民の一部は脱出を図っている。 しかし、それはわずかで
多くの市民は不安と恐怖心を抱えて戦闘の始まりを恐れている。

 

 
 

 
 


先の戦闘で負傷した子供を抱えた女性は逃げるに逃げられずにいる。

 

 
 

 
 


既に一部の地域ではアサド政府軍やロシア空軍による攻撃が始まっている。