ドル・基軸通貨はずしの予兆


ロシア、中国、ブラジル、インドの4ヶ国が集まったBRICs(ブリックス)において、ドルを基軸通貨からはずそうとする動きが始まっていることは、以前にも述べた。それ以外の国々の中にも、表だっては動いていないが、ドル離れに対する準備を進めている国があることはまぎれもない事実である。

鳩山首相がアメリカ一辺倒の政策から方向転換を計ろうとしていることや、藤井財務大臣がドル安に市場介入する意志がないと発言しているのも、同じ動きの一環である。

こうしたドル離れの動きは、20ヶ国首脳会議などの中でも次第に論議され始めているようであるが、そんな状況の中で、世界銀行のゼーリック総裁が公然と基軸通貨はずしの可能性に言及 したことは、水面下の動きが次第に表面化し始めたことを示している。ここまでくると、そう遠からずのうちにドルの信頼が一気に揺らぎ、基軸通貨探しの論議が わき起こることは間違いなさそうである。

自国通貨の信頼性が揺るぎだしていることは、他ならぬアメリカ自身が一番に自覚しているようで、アメリカ国務省は8月の時点で、海外の大使館に翌年度分(10月から9月まで)の予算を振り込むので、在留国の通貨に兌換しておくようにと、通達を流したという情報も流れている。

9月に入って、「ブルーグバーグ」ニュースはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の傘下にある、ニューヨーク連銀やシカゴ連銀など8行の連銀の資産状況はサブプライムローンやその他の不良債権によって、身動きがとれない状況におかれているというニュースを流し 始めた。

年末から年初にかけて、ドル崩壊と基軸通貨失墜への新たな動きが出てくる可能性が強いので、関心を持ってみておく必要がありそうである。

 

米国はドルを主要な基軸通貨と当然視すべきではない。=世銀総裁

ワシントン 27日 ロイター] 世界銀行のゼーリック総裁は、他の選択肢も浮上しているため、米国は世界の主要基軸通貨としてのドルの地位を当然視すべきではないとの見解を示した。

総裁は28日に行う講演の原稿の中で、世界の経済力はシフトしており、成長は複合的な要因によってもたらされるという事実を認識する必要があると指摘。「米国が世界の独占的な基軸通貨としてドルの地位を当然視すれば、それは間違いだ。今後は他の選択肢も増えてくるだろう」と述べた。

24─25日にピッツバーグで開催された20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)について総裁は、世界的な協力の強化に向け「良好なスタート」を切ったが、各国はその活動について世界的な監視を受け入れることになると述べていた。

総裁はまた、G20が今後、その枠外にいる他の160カ国のことを忘れずにこれらの国にも機会を開放すべきだと指摘した。

 

米銀の破綻急増の可能性強まる
 

 

 
 


破綻が懸念されているCIT

 


いよいよアメリカの銀行破綻数が100行をこえるのが目前に迫ってきた。9月25日にジョージア・バンク銀行が破綻し、年初来の破綻行数が95となった。米連邦預金保険公社(FDIC)は、倒産銀行に対する肩代わり準備金がいよいよ底をつき始めたため、傘下の全銀行に対して準備金の 3年分の前払いを要請し始めたようである。

リーマン・ショック以来、商業用不動産の下落は今もなお進んでいる。一方、住宅価格も暮れから春先にかけて大きく落ち込んだあと、現在は小康状態を保っているものの、これから先失業率が悪化し、ローンの支払い不能件数 の増加によって差し押さえ物件が急増すれば、当然、再び下落し始めることになる。

現在、差し押さえの可能性の高い住宅物件が、既に約700万に達していることを考えると、銀行の資金繰りはこれから一段と厳しさを増してくることは必定である。こうした厳しい状況に対処するために、すべての銀行が増資を実行できるわけではないので、失業率いかんによっては、倒産件数はこれから一気に増えきそうである。現に、米連邦預金保険公社のHPを見ると、可能性の高い銀行数が100行以上あることが記されている。

また、アメリカのメディアが伝えるところでは、米商業金融大手CITグループが経営破綻も視野に債権者と債務圧縮交渉に入ったようである。交渉が不調に終わり連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すれば、6月の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぐ米史上5番目の規模の破綻となり、金融機関としては今年最大の破綻となる。

中小零細企業の100万社以上がCIT社から融資を受けているだけに、破綻が現実となった場合には、資金繰り難で倒産する企業が相次ぐ可能性が大きく、アメリカ経済が底抜けの危機に見舞われる可能性が一段と増してきそうである。

 

米地銀ジョージアン・バンクが破綻、年初来の破綻は95件に

ワシントン 25日 ロイター] 米銀行監督当局は25日、ジョージアン・バンク(ジョージア州アトランタ)を閉鎖した。年初来の米銀破たんはこれで95件となった。

米連邦預金保険公社(FDIC)によると、ジョージアン・バンクは資産が約20億ドル、預金残高は20億ドル。

ファースト・シチズンズ・バンク・アンド・トラスト・カンパニー(サウスカロライナ州)が受け皿銀となって、ジョージアン・バンクの預金をすべて引き継ぐことで合意済み。

FDICは、預金保険基金が負担する金額を約8億9200万ドルと見込んでいる。

ジョージア州の銀行は住宅市場の冷え込みにより、金融危機による打撃を特に大きく受けており、年初来の破たん件数95件のうち19件が同州の銀行となっている。

ジョージアン・バンクは、富裕層向けに「オーダーメードの銀行サービス」を展開。住宅建設や不動産向け融資で急成長を遂げたが、今回の金融危機で業況が悪化し破たんに追い込まれた。